Editors' Choice 2010 谷口京
雑誌が推薦する写真家のグループ展『Editors' Choice 2010』が、
RICOHの写真ギャラリー「RING CUBE」で始まった。今日はオープニングにちょいと参加。

TRANSITは谷口京さんをチョイス。彼とはかれこれ長い付き合いだが、
僕は彼に何も出来なかったという印象が強い。写真集作ろうよ、
とか散々誘っておいて実現していないし、アフガニスタン行く?などと
知り合いを紹介したり(結局、彼はその後4回も行くことになる)無理ばかり強いてきた。
その逆に、彼は多大なる貢献をしてくれた。アフリカ特集、ヒマラヤ特集の表紙、
そして先日のロンドン撮影。彼に仕事を依頼すること=自分は安全地帯にいて、
負けのない勝負が保証されるようなもの。要は甘えていたって事だ。

だから今回少しでも谷口氏の展示の手伝いができたことは、とても光栄だし、
幸せを感じた。恩はいつでも返さなければ行けない、と常々思っている。
が、不義をいつも繰り返し、美しい写真を得ることを当たり前に思っている自分を恥じている。

彼の写真の善し悪しについては、会場に足を運んでいただければわかるだろう。
繊細な絵筆のようなタッチの中に、めらめらと小さいけれどもの凄い高温な炎が
燃えているのを感じていただけるだろう。めらめらしているんだ、写真が。
僕は写真の前でしばし立ち尽くしてしまった。ずっと眺めていたいと思った。
木々が、山々が立体感を持って迫ってくる。まるでそこに自分が立っているような感覚。
やっぱりでかくして良かったなコンパニェロ。構図や斬新なアイディア、
人間の内面や見えないものを写し出す、他の写真家の展示ももちろん素晴らしい。
でも写真が根源的に持つ、釘付けにする力、若いのもじじばばも誰でも共鳴できる写真。
そして写実に止まらない収まらない、情熱的な印象表現をこの2枚から強く感じる。

展示写真は2枚だけ。地上の「屋久島」を左に、天空の「ヒマラヤ」を右に配置した。
4枚とか6枚とか二人で悩んだけれども、結局ドカンと2枚を並べることに決めた。
根を地に張り巡らせ、がっちりと地を掴まえている屋久島の木々、
5000mを優に超え、動物はヤクしかいないような宇宙を感じるヒマラヤの山々。
その二つを並列に並べることで、「もうどっちがhabitat(生息地)なんだか分からなくなる」
という不可思議さと浮遊感を感じてもらえるんじゃないかと思う。

写真を焼きつけた紙は日本伝統の「越前和紙」だ。しかもしつこく別で2種類。
もちろん手すきの紙だから、濃淡というか表面が滑らかな中に細かい
凹凸が感じられる。色がのるとベルベットの生地のように輝き、立体感を生む。
そして、額は大正時代の民家の床だった廃材を再生したもの。
樹齢約300年の栗の古材。郡上の彫刻家・鵜木憲之氏による仕事である。
大正時代の大工が残したノミ、鉋、鉈の痕も生かすため、
表面は磨いただけだという。組み木の技術の高さにも嘆息してしまう。
僕は思うわけです。一見するだけじゃ分からないような別種の
越前和紙を写真の色との相性でしつこく研究したり、
わざわざ岐阜の山奥に住んでいる彫刻家を訪ねて大正の床材から
フレームを作らせたりするのって、最高なんじゃないかと。
あんまりストレートに情熱を出すのって正直効率悪いし、時に金も掛かっちゃうし、
端的にいえば「面倒」なこと。けどそれを涼しい顔してやってしまう男と
仕事で一緒になれるのは幸せな事だ。とにかく見て、感じてみてください。
緑と青を。和紙と古材を。そしてその混ざり合いを。
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Comments (1)
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by ciufciagry at 2010.11.02 12:02:42