航空界の星、ボーイング787発進
2012年1月21日、真夜中の羽田空港国際ターミナルは、
お祭りのような華やいだ空気に包まれていた。

会場では、アコーディオンによってドイツの民族音楽が奏でられ、
民族衣装を着込んだ全日空スタッフがワインをふるまう。

全日空のボーイング787の初の長距離飛行が迫っていた。
出発ゲート前では、ドイツのフランクフルトへ旅立つ乗客や、
記念セレモニーの関係者、報道陣など多くの人びとでいっぱい。
そのなかにいた塩崎達也さん、素我(すが)さん夫婦の目的はドイツ観光。
三人にいる子供達が独立して、今は二人で好きな旅行によく行くそうだ。
特に、達也さんは飛行機が大好き。
記念すべき「初フライト」への搭乗を心待ちにしていたという。
ボーイング787は「乗り心地が楽しみ」と、笑顔で話してくれた。

全日空に勤務する手塚愛美(めぐみ)さんは、
昨年秋、シアトルから羽田への特別フライトに搭乗した。
「これまで飛行機に乗ると、頭が痛くなっていたのに、今回は大丈夫でした。
乗ってみて、ボーイング787のよさを身体で感じましたね」。
これまで飛行機では、気圧が低いことによる不快感や、
湿度が低いことによる鼻、のど、肌の乾燥が避けられなかった。
しかし、ボーイング787は、最先端の技術の粋を集めて開発され、
快適な乗り心地が実現されている。
湿度が高めに保たれる点は、機上で仕事をする客室乗務員からも、
高い期待が寄せられているという。乾燥は肌にとって大敵なのだ。
その乗り心地については、日本企業も大きく貢献している。
部品の35%には日本製のものが使われている。
例えば、東レが開発したカーボンファイバーのボディーは湿度に強い。
それによって、機内の湿度を高く保つことが可能になった。
F1のマシンにも使われていて、軽くて強いすぐれものだ。

エンジンを開発したのはロールスロイス社製。
燃費消費量がよいことに加えて、二酸化炭素などの排出量も少ない。
ボーイング787は、ボディーの軽量化と、エンジンの燃費向上により、
同程度の大きさの航空機と比較して、20%も燃費効率が上がっている。
原油が高騰している現在、航空券の値段を抑えるための鍵をにぎる。

現代の最先端の技術を集めたボーイング787だが、
それを安全に飛ばすためには、スタッフのサポートが不可欠だ。
冷たい風が吹きすさぶ中、ボーイング787の飛行のために
尽力してきた全日空の関係者が勢揃いしていた。
午前1時、ストッパーが外され、機体が静かに動き出す。
パイロットが合図をしたその瞬間、
ずっと見守っていたスタッフたちがいっせいに手を降る。
航空界の新しい夜明けを象徴するかのように、
真っ暗な空を背景にして機体がゆっくりと滑走路を走り始める。
空港のグリーンのライトが一瞬光り、
真っ白なボディーにあしらわれたナンバー787を照らし出した。
NH203便(LH7237便) 羽田出発1:00/フランクフルト到着5:25
NH204便(LH7236便) フランクフルト出発11:15/羽田到着6:45(翌日)
1月21日より週3便(月、木、土)
2月1日より毎日運行
*2月1日~29日までは、B787とB777-200ERの両方の機種にて運航












