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川端 潤 写真集『SO FAR -浮遊のはじまり-』

Info | 2012.10.30

写真家の川端 潤さんより写真集が届いた。
どこまでも歩いて行けそうな、キリリとした秋の空気によく合う。

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作曲家、写真家として活動している川端氏。
これまでも、ドイツ、イタリア、スペイン、ポルトガルなど
ヨーロッパを中心に歩いては、街角に転がる光景を
あくまで"ただの旅人"の視点から撮影してきた。
そんな彼の"浮遊"の記録をまとめた最終章となる一冊だ。

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ストーリーは、アフリカで出会ったドイツ人を探す、
という内容でゆっくりと展開。

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ロマンチシズムとセンチメンタリズムが漂う写真の数々に映るのは、
今はなきヨーロッパの風景とそこで出会った人々の、なんでもない一瞬。
遠い過去の異国の日常は、寂寥感と静寂感に満ちている。

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今作も前二作と同様、同氏による作曲のCDを同封。
本のなかの何気ない日常風景が、音楽と合わさることで、
まるで映画のワンシーンのように浮き立ってくる。
ただ、音楽と切り離せない一冊かといえばそうでもなく、
写真だけを眺めれば、さまざまな心象風景にリンクしてくるから不思議だ。

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旅は写真家の意識を変える。
自分がほんのちょっと薄くなったり、軽くなったり、
逆に重く、大きくなったりしているように感じる。
見るものすべてが鮮やかな光を発して輝く。
反対にすべて敵意を持って襲いかかってくる。
そんな『不思議の国のアリス』のような状況を、
いかに上手にコントロールするかが写真家の腕の見せ所だ。
逆らってはだめだし、流されるのはもっとよくない。
川端 潤はとてもうまく旅の時間を漂いながら、
歓びと悲哀をブレンドした物語を紡ぎ出して行く。
見ていて、僕も旅に出たくなってきた。
---- 飯沢耕太郎(写真評論家)

僕は今年、いくつかの女性誌やモード誌から同じ質問を受けた。
それはセックスをせず、料理店にも行かないと同時に、
海外旅行に行かない、美しくてデリケートな男性についてで、
彼等に肉を喰わせるにはどうしたら良いか?と問う女性編集者達は、
半ば混乱していた。何ということだ。そんな男は死んでしまえばいいのに。
でも困った事に、僕には彼等の気持ちが少しわかる様な気がした。
彼等には何の特効薬も無い。彼等を駆り立てる物は、この世にもう無いのだ。
この写真集だけを除いて。
----菊地成孔(ジャズミュージシャン)


川端 潤 写真集『SO FAR ー浮遊のはじまりー』

写真:川端 潤
価格:¥4830(税込)※CD付き
発行:エアプレーン レーベル

HPでは旅のサイドストーリーを公開中


川端 潤(かわばた・じゅん)
東京都出身。作曲家、写真家、音楽プロデューサー、映画プロデューサー。