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写真家が見た幸福のアラビア
山西崇文「Yemen 2005」展

Info | 2015.06.11

TRANSITイスラーム号でもイエメンについて語っていただいた
写真家・山西崇文氏の写真展「Yemen 2005」が開催される。

山西氏と言えば、撮る・書く両刀の旅する写真家。
世界の各地の街並みや市井の人びとの瞬間に飛び込み、
率直な視線と軽妙なアイロニーで、その土地の等身大を切り取ってきた。

今回の展示では、2005年にアラビア半島の南端・イエメン共和国で
撮影したプリントが公開される。
日本ではあまり馴染みがないかもしれないが、肥沃な大地で古くから発展、
乳香交易で繁栄を極めたローマ帝国時代には「幸福のアラビア」とまで呼ばれた、
豊かな文化と伝統を誇る国だ。
しかし21世紀のいま、私たちに届くのは「アラブの最貧国」という不名誉な称号や
アラビア半島で激化する紛争についてのニュースがほとんどである。

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氏がイエメンに興味を持ったのも、過激派組織・アルカーイダの元リーダー、
ビン・ラディンの故郷がイエメンにあると聞いたからだという。
時として私たちを脅かすものとして描かれる"イスラーム"。
それを象徴する男が生まれた場所。
そこはいったいどんな場所で、どんな人々が暮らしているのだろう?
極めてシンプルな好奇心から、イエメンへ向かったのだ。

しかし訪れてみるとそこあったのは、
迷路のような街並や、お菓子の家のような建物。アラビアンナイトのように絢爛な夜。
子供の頃に絵本やおとぎ話で触れた、摩訶不思議で魅力的な"別世界"だった。

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その別世界であっても、氏は街並みや人びとの営みをストレートに切り取っていく。
「万華鏡のような世界を、時空を超えて彷徨いたい」(本誌より抜粋)と、
奇妙なものや目新しいもの、ときには「テキトーな異国情緒を醸すもの」(同上)にまで、
異国の地のあらゆるものにレンズが向けられる。
そしてその場所で暮らす人に出会えば、
立場や距離をとりはらい、人物と真正面から向き合う。

笑うでも泣くでもなく、山西氏に真っすぐな眼差しを向ける人びとの姿からは、
わたしたちと何ら変わりなく日々を送る、その土地で生きる生身の人間が浮かんでくる。

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イエメンは果たして私たちの住む世界と"全く異なる"のだろうか?
氏の写真はイエスとノー、そのどちらをも示しているようだ。

半月刀を腰に差した民族衣装の男たちに、黒い布で身体を覆った女性たち。
乾いた大地と空だけの殺風景と、瑞々しく輝く最果てのオアシス......
現実とファンタジーをごちゃ混ぜにした別世界。
そこには確かに"人間くさい"、幸福のアラビアの断片が見えている。


山西崇文写真展「Yemen 2005」
開催期間:2015年6月24日(水)〜7月5日(日)
開催時間:15:30〜22:30
    (24日のみ17:00〜、日曜日は12:00〜17:00 、月曜日は休み)
会場:Paper Pool Gallery & Darkroom with Cafe/Bar
   東京都目黒区祐天寺2-16-10 たちばなビル2F
問合せ先:☎︎ 03-3713-2371 

ギャラリートーク
テーマ:グローバルな世界における別世界とは?〜イエメンの旅話から〜(仮)
6月27日(土)18:00〜20:00
¥1,200 (ワンドリンク込)
※席数限定のため要予約。

◎プロフィール
山西崇文(やまにし・たかふみ)
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マダガスカル、ベトナムなどの旅を原点に、旅をしながら写真を撮り、文章を執筆する。
雑誌『TRANSIT』『CL カメラ・ライフ』などを中心に活躍。『写真機狂旅行者的視線』、『uninstall』『Faaaaantasic・INDIA』など、意欲的に写真展・作品発表を行っている。