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色彩の概念を超えて
大山エンリコイサム個展
「Black」

Info | 2018.10.10

FFIGURATI#162_EnricoIsamuŌyama_TSCA.jpg大山エンリコイサム個展「Black」より

MoMAのようなホワイトキューブの現代的な美術館のスタイルを確立させたり、路上にかかれたライティングが億単位の芸術に化けたり......アートの新しい時代を切り拓いてきたニューヨーク。現在発売中のTRANSIT41 ニューヨーク号では、現地在住の大山エンリコイサムさんに「システムと横断--リアルの在り処--」というタイトルのもと、ニューヨークのアートシーンやアーティストの日常を執筆してもらった。そんな大山エンリコイサムさんの個展「Black」が、11月22日(木)よりTakuro Someya Contemporary Artにて開催される。

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infoart02.jpg©Collin Huges

「エアロゾル・ライティング」のヴィジュアルを再解釈した大山さんの作品は、もともとは路上のライティングに影響されたものだが、一般的にはポップでカラフルな表現が多いいなか、彼は今回の個展でも見られるようにあえて色数をおさえてかくことをつづけている。白と黒のモノトーンの世界を基調とし、造形そのものがもつ力とそこに現象する運動を強調する。色彩の概念、枠組みを意図的に放棄することで、身体の運動から生まれる速度の「表象」を鑑者がそのつど知覚できるよう構成しているという。

本個展「Black」では、さらに一歩踏み出した意味が込められている。タイトルの「黒」は、人間の根源にある表現欲求「かく」行為と同義としている。「白」と「黒」ですらない。「白」は余白として、彼がうみだした黒い線、造形そのものがもつ潜在力を引き出す。そうすることで、生成・運動・速度・拡張などの感覚を、見るものに直接的に想起させる......そうした意図が込められている。

実際にフィジカルな空間でこれらの作品の「黒」そのものに対峙したとき、我々の感覚・感情はいったいどのように反応するのだろうか......。それを体感するには、ギャラリーに直接足を運ぶほか道はなさそうだ。会期は11月22日より。お楽しみに。


「Black」
開期: 2018年11/22(木)―12/22(土)
レセプション: 11/22(木)18:00~20:00 ※作家来場予定
会場:Takuro Someya Contemporary Art
開廊:火・水・木・土 11:00~18:00|金 11:00~20:00
休廊:日曜・月曜・祝日
住所:東京都品川区東品川 1-33-10 TERRADA Art Complex 3F
TEL:03-6804-3018

大山エンリコイサム
アーティスト。イタリア人の父と日本人の母のもと東京に生まれる。エアロゾル・ライティングの視覚言語を翻案したモチーフ、クイックターン・ストラクチャーをベースに作品を発表するほか、著書『アゲインスト・リテラシー グラフィティ文化論』の刊行や雑誌『美術手帖』でライティング文化特集の企画・監修も手がける。現在ニューヨーク在住。