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誰もが、本音と建前の間で、生きている。
映画『彼らの原発』に垣間見る
日本の縮図

Info | 2018.10.19

karegen03.jpgⓒ「彼らの原発」上映委員会

原発を抱く町の人びとの声をすくい上げたドキュメンタリー映画『彼らの原発』が2018年10月20日(土)より公開となる。

福井県大飯郡おおい町。人口8700人、海と山に囲まれたこの小さな町には4基の原発がある。1979年に大飯発電所が設置されてから、人びとは原発の存在と折り合いをつけながら生きてきた。

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しかし2011年3月に起きた福島第一原発事故以降、日本初の再稼働に踏み切った大飯発電所。その日以来、外から向けられる好奇と無関心に、住民の暮らしは翻弄されてゆく。押し寄せるマスコミ。報道によって切り刻まれた真の声。鳴り止まない誹謗中傷の電話。日々問われる「原発の是非」にこの町の人びとは次第に口を閉ざしていった。

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このドキュメンタリー映画が迫るテーマは決して「反原発」ではない。本作の監督である、映像ディレクター・川口勉氏が撮るのは原発がある町の家族の風景であり、青春であり、そこで営まれる普通の人びとの生活であり...対話の中で言い淀みながらも語られる、静かな声だ。

映画のなかの人たちは、カメラに向かってこう語る...

「外の人は嬉々として、声高らかに「反原発」を掲げる。おおい町に住む人が悪者になるのは腹が立つ」

「原発はこの地域に根差しすぎてしまった。原発の是非は、この町にいる自分には分からない」

「80年生き、もう国には騙されないと思っていても、やっぱり渦巻きの中に流れてゆく」

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彼らの暮らしを見つめ、声に耳を澄ますと、これは決して他人事ではないと思った。この町は日本の縮図なのだ。日本中の原発が再稼働へと向かう中、原発のある「国」に生きる我々自身を改めて見つめ、当事者意識を持って考える。そんなきっかけをこの『彼らの原発』は示してくれるだろう。


■『彼らの原発』
10月20日(土)~11月2日(金) 新宿K's cinema
11月3日(土)~11月16日(金) 横浜シネマリン
以降 順次全国公開
◆予告編◆ https://www.youtube.com/watch?v=_bzwP27SJ-o&t=3s
◆Facebook◆ https://www.facebook.com/kareranogenpatsu/


■川口勉(かわぐち・つとむ)
フリーランスの映像ディレクター。1983年神奈川県川崎市生まれ。東京のテレビ番組制作会社に勤務し、NHKや民法放送のドキュメンタリー、歴史番組、音楽番組などの演出を手掛ける。独立後の現在、テレビ番組のほか、CM、企業イメージムービーの制作・演出も行う。