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PARKER創業130周年
スペシャルインタビュー

Info | 2018.12.21

世界中で愛されるペンブランドのPARKERは、2018年で創業130周年。
それを記念して作られた「ソネット スペシャルエディション」のことや、ブランドの歴史について、創業者の曾孫にあたるジェフリー・S・パーカーさんに話を伺いました。
TRANSIT42号(P16)に掲載しきれなかった分を追加した、スペシャルバージョンをどうぞ!

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─創業130周年おめでとうございます。4代目のジェフリーさんは、このブランドの長い歴史をどのように感じていますか。

パーカーブランドは、私にとって特別な存在です。ビジネスであり、同時に家族のつながりの証しでもあります。曾祖父のジョージ・S・パーカーは25歳の頃にブランドを創業しました。そして命がけで世界中を探検し、さまざまな人に刺激を受けたことで、よりよいペンをつくり、ブランドを成長させることができました。

─ジョージさんは旅が好きだったのですね。

ジョージはとにかく好奇心旺盛で、幼い頃からわからないことがあると周りの大人に訊くことで解決するのが習慣だったようです。幼い頃は貧しくて、学校に行けず、本を買うこともできなかった。当時はインターネットもないですから、知識のある人に尋ねるのが彼にとって最善の方法だったんです。ペンのビジネスを始めてからも、どうすればよいペンを作れるかということを色々な人に意見を訊いていたようです。そのうちもっと新しいことを学びたいと海外に目を向けるようになり、世界中を旅しました。そしてその精神は今もパーカーに根付いていて、私たちもお客様に会ってコミュニケーションすることを大切にしています。

----では、そもそもなぜ「ペン」に注目したのでしょうか?

実は、彼はもともと電信についての教師をしていました。生活はできたけれど、憧れの旅に出るための貯金ができるほどの稼ぎはなかった。そこで、副業のようなかたちで、学校の生徒たちにとあるペンカンパニーの商品を売り始めたんです。しかしあるとき、ペンのインク漏れが発生してしまい、修理をするか、ペンの代金を返して欲しいと購入者に言われてしまいました。そこで、インク漏れの理由を追求するため試しにイチから作ってみたんです。素材にこだわり、注意深く実験を繰り返したことで、質の高い製品の作り方を習得することができた。それならば、自分のペンブランドを立ち上げようということで、パーカーが生まれました。偶然の出あいなのですが、ペンに興味をもち、構造を知ろうとしたからすべてが始まった。その好奇心こそブランド誕生の源であり、ここまでビジネスを成長させた要因であるともいえます。

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ソネット スペシャルエディション アトラスCT  

─今回の130周年記念モデル「ソネット スペシャルエディション」は、そんなジョージさんの好奇心や、旅への情熱がテーマになっていると伺いました。

はい。彼は本で見たエッフェル塔や万里の長城などに憧れをもち、実際に世界中のさまざまな国を訪れました。実は日本にも6回以上来ているんですよ。偶然見つけた七宝焼きの鮮やかな黄色にインスピレーションを得てできたペンもありました。皆さんも、単純な観光地の風景より、予期せぬ出来事に出くわした瞬間のほうが、心が大きく動き思い出として深く心に刻まれるのではないでしょうか。「ソネット スペシャルエディション」は、そんな誰もが旅で抱く感覚をユニークに表現したコレクションなのです。

─旅中の出来事を書き留めるのにぴったりなコンセプトをもつペンですね。

そうですね。私もジョージと同じように、旅をするときは必ず手帳とペンを持ち歩いています。書き留めると、物事をより深く記憶し、理解することができますからね。旅先から家族に手紙を送るのも好きです。自分の感情を伝えるときは、手書きのほうがよりよく伝わると思うのです。

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----書く・伝えることに関して、現代はEメールを使う場面がどうしても多くなってしまいますが、ジェフリーさんはいかがでしょうか?

私ももちろんEメールは使います。とても迅速に相手とコミュニケーションでき、現代社会にはなくてはならない優秀なツールだと思います。「いつ、どこで会いましょう」などと、情報を伝達するのにはとても便利です。でも、もっとパーソナルなことや複雑なことを伝えるときは、ペンの方がいいと思いますね。ペンがあると、どんな言葉を使おうか考えながら、より注意深く文章を作るようになる気がします。受け手も文字を見ると、書いている人の気持ちをより理解できるのではないでしょうか。デジタルツールが台頭しても、ペンはなくなっていませんよね。何にでも長所と短所がありますから、ベストな方法とは、「誰と、何についてコミュニケーションをするか」ということから導き出されるのではないかと思っています。


─なるほど。最後に、今回のテーマである旅に関して質問です。ジェフリーさんが訪れたなかでとくに印象的な国はありましたか?

そうですね......。好きなペンをひとつだけ教えてと訊かれているような、難しい質問です。それぞれに個性があって、どこも素敵だと思います。まだ訪れたことのない国もたくさんあるので、これからも冒険して、いろいろな新しい発見をしたいですね。「ソネット スペシャルエディション」の「アトラスCT」に描かれたマップを見ていると、「ここは行ったことあるな」「次はここに行ってみたいな」と思いが膨らみます。目標は、ジョージが訪れた国すべてを訪問すること。世界は本当に広いし、エキサイティングですよね。

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山崎瑠惟=写真  編集部=文