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韓国・北朝鮮号の
発売イベント第一弾!
トークの一部をご紹介!

Info | 2018.12.17

2018年12月14日(金)にTRANSIT韓国・北朝鮮号の発売日を迎え、大阪のスタンダードブックストア心斎橋店で発刊イベントを行いました。今回の特集で韓国の済州島を訪れた大阪在住の写真家・濱田英明さんをゲストに、編集長・林とトークを行いました。その一部をご紹介。

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濱田英明(以下、濱):お客さんたちの中で韓国行ったことある人?......え、半分以上行ったことあるの!すごいね。
林紗代香(以下、林):関心のある方が集まってくれたんですね。取材陣では意外と初めて行った人も多かったんですよ。それで距離的には"近い"のに、まだまだ知らないことが多いという意味を込めて、韓国・北朝鮮号のサブタイトルを「近くて遠い国」としました。濱田さんにはこの号で済州島に行ってもらいましたね。この号を制作する際に韓国のPRをしている韓国観光公社の方に「韓国の地方でいま面白い場所は? 」と聞いたときに、「それなら絶対、済州島ですよ」と聞いて、そこはまずどうしても取り上げようと思ったんですね。

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(c)Hideaki Hamada

濱:済州島は「韓国のハワイ」って言われてますけど、ほんとに火山っぽい地質なんですよね。石垣も多いし、田んぼの土も真っ黒だし。あとは石像のおじさん・トルハルバンがいる。済州島の守り神といわれる存在なんですけど、どこにいってもいるんですよね。TRANSITの取材記事「ハルとミナの夏休みin 済州島」の最初の写真も、生垣が迷路になっていて、実は上から見るとトルハルバンになってるんですよ。おじさんの体内で迷子になって遊ぶっていう。このみかんジュースのボトルもトルハルバン。おっさんの液体を飲むのがシュールなんですけど、めっちゃ美味しかった。みかんは済州島の特産品なんですよね。
林:身近な旅先としても済州島はいいですよね。大阪からは1時間半、東京からは2時間くらいで行けますし。私も濱田さんの写真を見てうらやましくなって、日本で韓国を感じたいなぁと。それで、日本には各地にコリアンタウンがあって、TRANSITでは川崎のコリアンタウンの取材もしたんですが、実は今日のイベント前に鶴橋・生野のコリアンタウンに行ってきたんです! 濱田さんと鶴橋駅で待ち合わせして。鶴橋のことが書かれた本やWEBサイトで、駅からすでに焼肉の匂いがするって書かれてたんですけど、ほんとに電車のドアが開いた瞬間、焼肉の美味しそうな匂いがしてびっくりしました。
濱:駅降りてすぐもそうだし、10分ちょっと歩くともっとローカルな生野コリアンタウンが広がってますよね。僕たちは駅出てすぐの一軒目で、早速チヂミ。おいしかったですね。ホットクも美味しそうだった。マーガリンの上に、サラダ油かけてじゅーって焼いたおやきみたいなもの。気になりましたが、僕これ食べたら血糖値あがってあかんって自制しました(笑)。

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林:あとはお惣菜屋さんでイカのチャンジャを買ったり。もう50種類くらいおかずが並んでるんですよね。
濱:美容ショップで林さん顔のパックも買ってましたよね。美容系のお店も多かったな。あと韓流アイドルのお店にいったり。いまの10代、20代の若い子って本当にK-POP好きですよね。仕事でファッションなんかの撮影をしていても、モデルの子からいまこのK-POPがいいんだって曲教わったりしますね。
林:自分たちの世代は洋楽といったらアメリカかヨーロッパばっかりだったけど、若い子はK-POPも自然に聞いていますよね。そう意味では、生野周辺を歩いていて若い人が多かった印象もありましたね。下校途中、トッポキをつまみながら帰る高校生カップルとか、いいなぁって。
濱:そういえば生野コリアンタウンにはトルハルバンもたくさんいましたね。
林:だいたいお土産ものの小さな石像が多いけど、なかには1mくらいの大きな本物(?)もありましたね! お店のおばちゃんにこれどうしたんですかって聞いたら、「40年くらい前に父親が済州島から持ってきた」って(驚)!
濱:この辺りには済州島にゆかりのある人が多いんですよね。歩いてても実感しました。「ついこの間、済州島に行ったんですよ」って飲食店のおばちゃんと話してたら、「私の故郷だよ」とか「いま息子が島にいるんだよ」っていう人が多かった。
林:済州島の話をしたら喜んでくれて、トートバッグくれたおばちゃんもいましたね。「そのビニール袋じゃ持ち歩くの大変だから、こっちのバッグ使いなさい」って! なんで済州島の方が多いのかというのには、いくつか理由があるといいますよね。生野地区を流れる平野川という川があるんですけど、この平野川がよく氾濫する川で大変だったと。それをまっすぐにするために、労働者として済州島の人がたくさん移り住んできたらしいんですね。1920年代には済州島と大阪を結ぶ船が月2〜3便あったみたいです。そこから済州島のコミュニティができてきたと。また時代がくだって朝鮮戦争後にも済州島出身者の方が大阪に多く移り住んだともいいますね。済州島が反政府勢力の拠点になったことで弾圧され、島民の多くが虐殺されるという悲しい事件があったんですね。それで身の危険を感じた人たちが済州島から大阪に移り住んだ時代もあったと。そういうことってなかなか興味やきっかけをもって調べないと知らなかったりしますよね。それこそ学校で教わらないというか。もっと歴史の授業は近現代史を厚くしてもいいんじゃないかって。

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濱:教育の話にいきつきましたね(笑)。たしかに大昔の話もいいけど、現代史はいまの時代を生きている自分と地続きだから、もっと知ってなきゃけないし、興味をもって話を聞けそうな気がしますよね。そういえば今回、韓国だけでなく北朝鮮も特集していますよね。北朝鮮に行くのにビザとかいるんですかね。
林:いるみたいですね。日本に北朝鮮に行くための旅行会社もあって、大体中国経由で行く。現地では常に北朝鮮の日本語ガイドがついていて、旅行者は自由に街を歩けないという制限があります。さらにジャーナリストは渡航が難しいんですけどね。
濱:TRANSITの中に写っている小学生ぐらいの子が、制服を着て笑顔で駆け回ってる写真とかびっくりしますよね。

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(c)Yusuke Hishida
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(c)Kenji Sato

林:一般市民が海やプールで泳ぐ写真も驚きますよね。普通の日常があるんだなと。街中でローラーブレードやってる人もいるし。金正恩委員長もバスケットボール好きですしね。知られざる北朝鮮の姿があるんだなというのが、雑誌内の「北朝鮮ハンドブック」や「ベールの中の北朝鮮」を読むとわかります。
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濱:このへんの特集がTRANSITっぽいよね。
林:朝鮮戦争の記事では、元通信社の記者の方が書かれた文章の内容にはっとさせられました。「第二次世界大戦が終わって、敗戦国のドイツは西と東に分断されたが、日本は分断されず、朝鮮半島が北と南に分断された」と。恥ずかしい話ですが、この視点をもったことがなかった。 無関心であることは怖いなと。
濱:歴史でなくとも、カルチャーから興味をもつのでもいですしね。最近ですよね、韓国カルチャーがはいってきたのって。だってキムチだって、僕が小学生くらいのときにはじめて食卓に並んだ気がする。ここ30年くらいの話じゃないかな。ソウルオリンピックくらいか。
林:ソウルオリンピックは1988年、その翌年1989年に韓国人の海外渡航が自由化されて、日韓W杯が2002年の話ですもんね。
濱:豊臣秀吉とか、もっとそれ以前から日本と朝鮮半島で行き来があったことを考えると不思議ですよね。第二次世界大戦後、韓国との距離が近くなったのって本当にここ最近のことなんですね。
林:この号を通して、もっと近くの国に対しても興味をもちたいなと思いました。これまでTRANSITを40号以上やってきて、アフリカの僻地やアジアの奥地に行ったりもして......もちろんそれもいいけど、一番日本にとって身近な朝鮮半島をやってこなかったので、いつかやりたいと思っていた地域でした。今回のTRANSITが、韓国と北朝鮮を知るきっかけのひとつになるといいですね。

濱田英明さんの軽快なトークやスタンダードブックストア中川さんのツッコミ、韓国通のお客さまの方々とコールアンドレスポンスしながらのあっという間の2時間。ご来場いただいた方々、スタンダードブックストアの方々、ありがとうございました!

今回、イベント会場となったスタンダードブックストア心斎橋はこちら。イベントあり、楽しい本あり、雑貨あり、面白い本屋さんなのでぜひお立ち寄りを!