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ダイナーの日常 夢幻のアメリカ

Travelog | 2011.11.27
サンフランシスコからポートランドまで、南北に伸びるハイウェイ5号線を基軸に、寄り道をしながら安っぽいレンタカーで北上した約10日間。そのロードサイドで見かけた地元の人々が交差するダイナーやドライヴインやバーといった風景たちは、幻夢のような"アメリカ"の日常だった。

サンフランシスコ国際空港に到着後、レンタカーで市街地へ向かったものの、誤ってベイブリッジを進んでしまい、辿り着いたのがオークランドのこのホットドック屋だった。今回の旅はここからはじまった気がする。

同じくオークランドだが、これはハンバーガー屋。午後3時頃、近所の住民が小腹を満たし、矢印に導かれたドライヴァーが小休止していた。

こちらもオークランド。イメージ通りの"アメリカ"なモーテルの看板。文字を象ったネオンサインと鉄柱の錆び具合が良い味わいを出している。アメリカのロード・トリップにおいて、安くサクッと泊まれるモーテルは便利。

だが、ベイエリアはリベラルな地域のため"アメリカ"な風景は少ない。シスコ市内のドロレス・パークでは、ダブステップのパーティをする高校生、ジョイントをまわし吸いする大学生、愛を語らうゲイ・カップルと自由すぎる若者で溢れていた。

とはいえ、シスコにも少なからず古いダイナーが残存する。これはオーシャン・ビーチ近くの店。言うまでもなく、テーブルに運ばれてきたのは巨大なパンケーキだ。こんな"アメリカ"を探しに、西海岸を北上することに。

州間高速道路5号線はウエストコーストの南北を結ぶ主要ハイウェイだが、それと平行するオールド・ハイウェイを走っていると、こうしたガゾリンスタンドの残滓をしばしば見かけた。5号線の完成で廃れてしまったのだろうか。

同じくオールド・ハイウェイで通りすぎた休業中のダイナー。左の星条旗と看板が、ベイエリアのリベラルな空気とは真逆のコンサヴァティヴな雰囲気を醸し出す。

オールド・ハイウェイを西へ逸れて行き着いた、やや内陸の街チコのドライヴイン。大衆紙を読む老人、はしゃぐ子どもを叱る母親、ソファーにスケートボードを立てかける少年など、地元の住民で賑わっていた。

今度は北西へ進路を変えて走り続けると、太平洋沿いの港町ユーレカに到達。1943年に創業したこのドライヴインで、客はみな名物のガーリック・フライを注文していた。

再び北へ車を走らせていると、いつしかオレゴン州に入り、周囲には緑が増えていた。このように、遠くのドライヴァーにもサービスの内容を伝えんとするロードサイドの景色こそ、この国で発達したものである。

レバノンという小さな街近くのロードサイドにて。田舎のダイナーにしては、比較的デザイン・コンシャスなフォントの使い方だと思う(失礼!)。

最終目的地にしていたポートランドに到達。本誌では詳述する紙幅がなかったので、見るべきポイントをいくつか紹介しよう。

過去20余年で、スターバックスを生んだシアトルを含むアメリカ北西部は、いわゆるアメリカン・コーヒーとは異なるカフェ・カルチャーのトレンド・セッターに。特に、この都市では独立系のエスプレッソ・カフェがあちこちにある。

スケート・カルチャーも根強い。このバーンサイド・スケートパークは、93年に地元のスケーターたちがバーンサイド橋の下に無断で造りはじめたものだが、世界中のスケーターが知るパークとなったため、市も認可する施設に。

ジン・カルチャーは最近になって日本でも認知度/注目度が上がっているが、ポートランドの浸透度にはまだ及ばない。パンク・バンドのミニコミからポリティカルなコミックまで、各種ジンが揃うショップがあるのだ。

そして、ポートランドにはこんなバイク・ショップが散在し、自転車専用レーンの幅が広く、駐輪用ラックがあちこちに設けられ、バスや市電にも自転車が持ち込める。翻って近頃の日本では自転車に乗る側のルールやマナーばかりが問題視されるけど、まず行政や警察が整備すべきインフラもあるのでは?ともあれ、かつて西海岸のヒッピーたちは理想を追い求めるために現実から逃避しようとして挫折したわけだが(本誌「ヒッピー再考!」参照)、この街では現実の中で理想を実現せんとするDIY文化が育まれてきたのだ。そのあたりのことは、また別の機会にまとめたいなあ......。