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テクノスケープの鼓動

Travelog | 2012.04.06
ドイツの近代産業を推し進めたルール工業地帯。かつての繁栄はもはや過去の話だけれど、工場のループするインダスリアル・ビートとシンクロしながら、今もそこで鳴り響いている労働者たちの鼓動を耳にした----。

腹を空かせてアウトバーンを出たが、手頃なファーストフード店などはなく、白煙を吐き出す工場が出現。そこは、ルール工業地帯の一都市デュイスブルクであった。

工場に隣接する民家の壁には、赤い禁止マークに覆われた放射能標識が描かれていた。そして、出てきた家主の男は「これの意味、日本人ならよくわかるだろ?」と。

翌朝、デュイスブルクのランドスケープ・パークという名の公園を訪れた。そこは1985年に操業停止した製鉄所の跡地で、こうした構造物が産業遺産として市民や観光客に開放されているのだ。

溶鉱炉の内部に進み入ると、無数の金属管がもつれ合う鉄の塊が目の前に迫った。さながら鋼鉄の巨人の臓器にも思えたが、もはや金属管が脈打つことはなかった。

溶鉱炉の傍らでは、こんな光景も。ウェディング・ドレスを纏った花嫁とタキシード姿の花婿が、結婚の記念に撮影をしていた。

ルール地方の産業遺産を結ぶ約400kmのコース「産業文化の道」に沿って西方へ。その道程で目にした、積み木を積み上げたようにも見えるポップな外観の変電所。

草原や森をこうして横切るパイプラインは、ルール地方でしばしば見かけた。遠方にあるのは、稼働中のガスタンク。

こちらは近年建造されたガスタンク。卵っぽいフォルムに目が留まり、思わず車を停めた。

1986年に操業停止したエッセン近郊にあるツォルフェライン炭坑の広大な敷地は、バウハウス様式の炭坑跡の建物と、このようにスペクタクルなコークス製造工場から成る。奥に見えるのは、観覧車ではありません。

同じコークス製造工場にあった赤いタンク。こうした重工業の亡骸が、だんだん古代遺跡のように見えてきた。

ドルトムント近郊の住宅街で通りがかったグラウンド。休日だったこの日、同じ工場で働く労働者たちがサッカーを楽しんでいた。

ルール地方を南下してケルンへ向かう途中、デュッセルドルフで小休止。再開発されたライン川の港湾地区メディエンハーフェンには、米国人建築家フランク・O・ゲーリーが設計したディコンストラクティヴなビルが建っていた。

さらに南へ車を走らせると、こんな奇妙な風景に遭遇。火力発電所を背にして、馬たちが黙々と牧草を食べていた。

ようやくケルンへ到着。ゴシック建築の大傑作であり、街のシンボルである大聖堂を見上げていると、赤いモヒカン頭のパンクスにタバコを一本せがまれた。