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スウェーデン、みんなの夏至祭

Travelog | 2012.12.14
「国中が太陽の光に溢れ、幸せに包まれる」そんなお祭りがあると聞き、彼の地へ飛んだ。鋭い日差しに、急速に色づく草花に、ともに過ごす家族に、恋人に、そしてすべての人が愛おしく思える、スペシャルな一日。そんな国中が浮き足立つ、とある「夏至祭(ミッドサマー)」の一日。


14の島から成る首都、ストックホルム。今回は、なかでも若者やクリエイターなどに「セーデル」という愛称で親しまれている、セーデルマルム島を拠点にすることに。

閑静な住宅地には、ハイセンスブランドの路面店やギャラリー、ブックストア、雑貨屋などが点在していて、街歩きが楽しい。メインストリートを歩くと、こういうオシャレな若者がたくさんいます。

街には公園が多い。訪れたVita Bergen公園には、民族衣装を着たおじさんやおばさんによる模擬店が並んでいた。昼になると、ご近所のファミリーが続々と集まってきた。

同じ公園でも、若者たちはグループをつくって芝生でパーティ。日本の花見の光景にそっくり。

夏至祭は「ミッドサマーランチ」と呼ばれる料理をみんなで囲むため、通常昼からはじまる。ランチは「スコール!(乾杯)」というかけ声とともに、シュナップス(蒸留酒)を片手にスタート!写真は、カンヌ広告賞をはじめ世界的な賞を多数とっているウェブデザインの会社North Kingdom (http://www.northkingdom.com/)の社員のみなさん。

ミッドサマーランチはバイキング形式。ディルと一緒にゆでたジャガイモにさまざまな味付けのニシンの酢漬け、サーモン、堅焼きパン、サワークリームなどを思い思いに盛りつけていく。

できあがった1人前のプレート。どれも味が濃く塩気が多いため、お酒がどんどん進む......。このほか、レストランなどでも塩気の強い料理が多かった。

料理の後は、旬のイチゴを使ったイチゴケーキが登場!夏はブルーベリー、ラズベリー、リンゴンベリー(コケモモ)などベリー系が収穫時。

別の友人の野外パーティにも参加。古い小屋を貸し切り、友達同士が集まっての祝宴は、翌日の夜明けまでつづくことに......。

夏至祭の日、女性は花冠をかぶるのがお決まり。公園や空き地で好きな種類を摘んできて、みんなそこら中でつくっていた。

フェリーに乗り、ユールゴーデン島にある野外博物館「スカンセン」へ向かった。王室の領地の一部として、広く緑地が保護されているこの島には、スカンセン以外にも、遊園地や北方民族博物館など見所がたくさん。

1891年にオープンした世界最古の野外博物館「スカンセン」。動物園や水族館、民芸品の工房もあり、ゆっくり見て周ると2時間はかかる。

1700〜1900年代の農家、邸宅、教会など、全国から集められた約160棟の伝統的な建物が点在している。

「メイポール」と呼ばれるポールを囲んでのフォークダンスタイム。観光客や地元民など、多くの人が集まっていた。催しは朝から晩まで盛りだくさん。

白樺の葉をはじめ、さまざまな花で飾り付けられたメイポール。傘のような形の両端には、それぞれ花輪がかけられている。

音楽はすべてフィドルとアコーディオンによる生演奏で。いろいろな地域の民族衣装が一度に見られるのもたのしい。

歌のバリエーションは豊富。カエルや犬などの動物の鳴き真似をするものから、曜日の歌、喜怒哀楽の歌など。手をつないで回ったり、手をたたいたり、しゃがんだりと忙しい。

ちなaみにこちらは「恋人の歌」

翌日は車を借り、夏至祭でもっとも有名なダーラナ地方へ。ストックホルムからは、電車や車で4〜5時間。

道中は、針葉樹の森に湖、そして伝統的な赤い家屋が点在し、スウェーデンの原風景そのもの。

家屋も納屋も馬小屋も、大半が赤い!この塗料は、もともとこの地方のファールン鉱山から採れる銅の成分からつくった「赤」で、閉山された今もなお、国民に愛されているのがわかる。

とあるDIYショップで見つけた、赤い塗料のバリエーション。どれも同じに見えますねと言うと、「全然違いうじゃないですか!」と店員さん......。

レートヴィークという小さな村の広場では、男性陣がメイポールを立てている最中。垂直になったら村長が挨拶し、ダンスがはじまった。ご近所さんだけの、こぢんまりした雰囲気に和んだ。

ダーラナ地方には馬が多い。木彫りの馬「ダーラへスト」発祥の地でもある。ラートヴィークからほど近くのムーラという村には工房があり、内部の見学ができる。

姿形さまざまなダーラへスト。もともとは、木こりが余った木材で子どもの玩具としてつくったのがはじまりで、誕生したのは18世紀頃といわれている。

木を馬型にカットするお兄さん。なぜかイカつい人が多かった。

赤い塗料で色付けしているお兄さん。真っ赤な床が、ちょっと怖いんですが......。

帰り道に見つけた、森にひっそりと佇む不思議な宿。敷地内には宿泊用のロッジに加えて、木彫りのトロールや動物などがあちこちにレイアウトされ、奇妙な世界をつくっていた。

スウェーデン語で「Loppis(ロッピス)」と呼ばれる蚤の市をやっている小屋も。年代物の木工品が多く、安い。ほかにも、庭や玄関先でロッピスを開いている家をたくさん見つけた。

深夜2時でも空はこのとおり。けれど夏至祭を過ぎてしまうと、日照時間は日に日に短くなるという。だから人びとは歌い、踊るのだろう。儚い夏の夢を見るために。