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アンダルシアに焦がれて

Travelog | 2013.11.20
フラメンコと闘牛というコテコテのスペインを探して、真夏のアンダルシアに降り立った。スペインの夏は暑い、とは聞いていたけれども、「アンダルシアのフライパン」と称されるコルドバ、セビーリャの暑さは本当に凄まじかった。しかし暑さにへばっている我々を見て、「このくらいならまだ平気だよ。もっと暑くなるときもあるからね」とセビーリャのギタリストはこともなげに言った。アンダルシアのこってりと濃密な空気は、やはりこの暑さ(熱さ)なしでは語ることができないようだ。
  • 掲載号: TRANSIT22号 美しきスペイン / 撮影 : 在本彌生 / 文:兵藤育子
  • ルート: マラガ~コルドバ~セビーリャ~ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ

ピカソが生まれ育った町マラガ。丘の上のヒブラルファル城から望む町と港。幼いピカソがこの景色を見ていたのかと思うと、なかなか感慨深いのです。

真夏のマラガには、ヨーロッパ各地からバカンス客が押し寄せる。あいにくの曇り空でも、彼らはビーチ詣でを欠かさない。

マラガも一応、かの有名なビーチリゾート、コスタ・デル・ソルなのだけど、天気のせいか、海の透明度はイマイチ。だらだら、ゆるゆると過ぎていく夏の午後。

コルドバのシンボル、メスキータの外観。メスキータとは、スペイン語でモスクの意。天に向かってそびえるミナレット(モスクに付随する、礼拝の時刻を知らせる塔)は、キリスト教時代に鐘楼として使われていた。ここだけ切り取っても、この建築物の複雑な歴史が見て取れる。

こちらがメスキータの内部。「円柱の森」と呼ばれる有名な赤と白の馬蹄形のアーチを、定番の写真とは異なる角度から。

キリスト教の礼拝堂に改装された部分との境目。この礼拝堂を造ったことで、円柱が80本ほど破壊されてしまったそう。美しいイスラム建築に対抗心剥き出しで造ったカテドラル、といった感じ。

メスキータの周りのユダヤ人街は、迷路のように入り組んでいる。白壁で統一されて一見涼しげなのだけど、実際は40度近い気温のなかを夢遊病のようにフラフラと歩きまわっていた。

ユダヤ人街を抜けると、普通の住宅街が現れる。家の形をしたスタンプのような赤字の落書きは「人のいない家 家のない人」と記されている。観光客向けの小ぎれいな顔をしたユダヤ人街よりも、生活感の見えるこういった街並みのほうが歩いていてやっぱり楽しい。

コルドバの有名タブラオ(フラメンコ舞台のある酒場)で、本場のフラメンコを初観劇。情熱的かつ妖艶でありました。

同じくフラメンコショーの様子。ショーが始まるのは午後10時半。昼間しっかりシエスタをむさぼるスペイン人は、夜になるととても元気。

アンダルシアの州都セビーリャ。2011年にできたばかりの世界最大の木造建築メトロポール・パラソルが、旧市街で異様な存在感を放っている。

夜になってライトアップされたメトロポール・パラソル。派手さのわりに、人影はまばら......。

闘牛場近くにある古いバルの昼間の風景。正面の壁に貼られているのは闘牛のポスターで、2013年の興行スケジュールが記されている。そういえばこのとき、あまりの暑さに軽い熱中症になって、食事が喉を通らずビールで栄養補給してたっけ......。

闘牛学校に通う子どもたちの、夏休みの自主練風景。ひとりが闘牛士役、もうひとりは角を持って牛役をやるイメージトレーニング。華やかな表舞台からは想像しがたい、地味なことこの上ない練習なのです。

闘牛士役と牛役を交代して、イメトレは続く......。

子どもたちの練習の輪から少し離れたところで、ひとり黙々と練習していた青年。21歳のマティアス・ボレスはプロの闘牛士であり、このとき偶然彼と出会えたことで、取材は大きく好転していく。

たっぷりシエスタをとった子どもたちは、日付が変わろうとしている時間帯も外で元気に走りまわっている。

セビーリャの街を流れるグアダルキビル川にかかるイサベル2世橋。水辺が恋人たちのたまり場になるのは世界共通。カップル同士の適度な距離感も、世界共通のマナーらしい。橋の向こうはフラメンコのメッカ、トリアナ地区。

フラメンコ好きが夜な夜な集まる、トリアナ地区の有名店。看板は出ておらず、午前1時頃に店が開くのだが、この盛況ぶり。お客さんが代わる代わる歌を歌う、参加型のライヴ。余談だが、歌っている男性が着ているのは、シンプソンズのTシャツ。ふらっと現れて熱唱し、ふらっと帰っていった。

セビーリャのマエストランサ闘牛場は、スペインを代表する闘牛場のひとつ。博物館も併設されている。

夏場は若手闘牛士による興行が行われ、暑い時間帯を避けて夜に始まる。若き闘牛士の雄姿を見るべく開始を待つ御婦人方。

こちらも開始を待つ人たち。お酒や食べ物を持ち込んで、思い思いに時間を過ごす。

闘牛場近くにある古いバルその2。いつも適度に空いていたけれども、居心地とご主人の人柄はかなりいい。セビーリャに滞在中、すっかり常連になってしまった。

ヘレス・デ・ラ・フロンテーラは、フラメンコとシェリー酒、そして馬産地として知られる町。王立アンダルシア馬術学校で馬具を作る職人さん。

カテドラルを望む公園で、がっぷり四つに組んでいちゃつくカップル。

ヘレスのタブラオ。ヘレスはフラメンコのなかでもカンテ(歌)が本場の地。ところ変われば、ショーのスタイルも変わるのが面白い。

広場に面したバルでランチをする女性たち。なんともいえない気だるさ。この場末感、嫌いじゃない。

スペイン滞在最終日に、闘牛士マティアスの撮影がなんとか実現した。彼は約束の場所に幼なじみのルイスを伴ってやって来た。ルイスはマティアス専属の着付け師。闘牛衣装の着用は、一種の儀式のようなものなのだが、思いがけずその着替えシーンを撮影させてもらえることに。以下、誌面に載せることのできなかった貴重な着替えシーンをお見せします!

着替えその2

着替えその3

30分以上かけて着付けを終えたマティアス。ちなみにこの衣装のお値段は、4000ユーロ。

マティアスとルイス。実際の興行のとき、ルイスはマティアスの着付けだけでなく、試合前後の身のまわりの世話も行う。ルイスはかなりの闘牛オタクで、YouTubeで闘牛の動画をいつも見ているのだとか。素晴らしいコンビだった。

違う衣装を身につけたマティアス。こちらは先輩闘牛士からのプレゼント。金糸で刺繍された衣装を着ることができるのは、マタドール(最高位の闘牛士)だけ。マティアスも当然、マタドールになることしか考えていない。

おまけ。マティアスの着替えシーンを興奮気味に撮影する在本彌生さん。

  • 掲載号 : TRANSIT22号 美しきスペイン / 撮影 : 在本彌生 / 文:兵藤育子
  • ルート: マラガ~コルドバ~セビーリャ~ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ