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TRANSIT via NIPPON:特別編その2
岸田繁(くるり)の九州ぐるり旅

Travelog | 2015.01.26
くるりの岸田繁さんが九州をぐるりする特別連載。26号は鹿児島、27号は熊本が舞台。どちらの県も大好きだという岸田さん。今回もさまざまなものづくりをする人たちと出会い、ローカル列車に乗り、温泉に浸かり、土地のうまいものをたらふく食べて、九州を骨の髄まで味わうことに。まったく飽きない旅のサイドストーリー。

☞ その1:TRANSIT via NIPPON:特別編その1 岸田繁(くるり)の九州ぐるり旅

霧島の山中にぽつりとある古民家を工房にして、木工食器などを制作している FUQUGI の榮大貴さん。音楽好きな彼は、岸田さんの訪問に緊張&興奮しながら、作業の工程を丁寧に教えてくれた。

工房からの眺望。晴れているときは、桜島が見える。もともとこの工房は家具作家であった榮さんのお父さんが使っていたところで、景色が気に入って決めたのだそう。作業の手を止めてふと顔を上げると、窓の外に広がる自然。「ものをつくっている目の前に、すごい光景があるのが羨ましい」と岸田さん。

FUQIGIイチオシのカップ、TROLL。「トロールっていうドラクエのキャラクターいますよね」と岸田さんが言うと、「そうです、実はそこからなんです!作品の名前をあれこれ考えるのが好きなんですよ」と榮さん。ちなみにFUQIGIという名前は、お父さんが屋号にしていた沖縄の常緑広葉樹「福木」から。

鹿児島県霧島市の山あいにある、新川渓谷温泉郷のひとつ妙見温泉に宿をとった。昔ながらの湯治場といった風情で、長逗留したい気持ちに駆られる。温泉好きの岸田さんは、いかにも効き目のありそうな個性的な泉質に大満足していた。

宿で売られていた豆腐。湯上がりにビールをひっかけながら食べようと心に決めるも、叶わなかった幻の豆腐......。

翌朝、坂本龍馬が新婚旅行で訪れたという犬飼の滝を散策。山歩きの好きな岸田さんは、汗だくになりながらずんずんと歩いて行く。途中、部活動でトレーニング中の高校生と遭遇。

美山にある田中ギター工房にて。田仲俊彦さんが弾いているギターは、44年前に制作して、経年変化を見ながら"育てて"いる1本。試しに弾いてみた岸田さんはかなり気に入ったようで、しばらく演奏に夢中になっていた。

道具や部品などで埋め尽くされた工房。1本のギターを仕上げるのにかかる時間は、1年ほど。「お客さんから催促されないと、ついほったらかしにしてしまうんですよ」(田中さん)、「わかります、僕もそうです」(岸田さん)

ガレージには田中さんがつくったという数台のバギーが。写真は初期の作品。「ギターとバギーを両方つくっている人って、そういないですよね。クイーンのギタリストのブライアン・メイも自分でギターをつくるんですけど、彼はロケット工学の博士号をもっていて、ロケットもつくることができるらしいです。ものをつくることのできる人って、なんでも自分でつくりたくなるんでしょうね」

そしてこちらは最近つくったバギー。見た目も性能もどんどんパワーアップしているところがすごい。

レースガラスというベネチアングラスの伝統的技法を得意とする「href="http://glass-wellhands.jimdo.com/" target="_blank"> ガラス工房ウェルハンズ。 」へ行くと、トマトのかき氷でお迎えしてくれた。「トマトってどうなの......?」と思いながら食べてみると、甘酸っぱくてなんともクセになるおいしさ。

鹿児島といえばやっぱり黒豚。ということで、夜は鹿児島市内でしゃぶしゃぶに舌鼓を打つ。しゃぶしゃぶだけでは飽き足らず、黒豚とんかつも完食。

吉松駅〜鹿児島中央駅を肥薩線・日豊本線・鹿児島本線経由で運行する「特急はやとの風」に乗って、嘉例川駅から吉松駅まで移動。

明治36年に開業した嘉例川駅。開業当初から変わらない木造の駅舎は、肥薩線で最も古い。写真は、駅舎に置かれていたタブレット閉塞機。単線でも複数の列車が滞りなく運行できるよう、この機械で安全管理を行っていた。

日本三大車窓と呼ばれる肥薩線の絶景ポイントは、残念ながら霧に覆われ拝めなかったが、雨に霞む風景も幻想的で美しい。

「特急はやとの風」で運転席をじっくり観察。

嘉例川駅と並んで肥薩線で最も古い大隈横川駅のホームに降り立ち、乗ってきた列車を撮影。駅でも車内でも、撮影と録音を欠かさない岸田さん。

吉松駅で「いさぶろう・しんぺい号」に乗り換えて、終点の人吉駅を目指す。この列車が走る区間で唯一宮崎県に位置する真幸(まさき)駅には、駅名にちなんで「幸せの鐘」がホームに設置されている。

地元のおばさんたちがホームでお見送り。手が......!

肥薩線で活躍した蒸気機関車デゴイチ(D51)が保存されている矢岳駅。ご満悦。

熊本県宇城市で、長木實さんがひとりで作陶している松橋窯。昔の小学校の校舎のようなほっとする雰囲気のギャラリー兼工房には、美しい器が整然と並んでいる。

この器はどんなふうに使おう?一つひとつ手に取って、想像する時間がまた楽しい。

この日はちょうど、焼き終わったものを窯から出そうとしていた。どんなふうに焼き上がっているかは、窯出しをするまでわからない。緊張の瞬間だ。

熊本県荒尾市にある小代焼の「ふもと窯」では、今では数少なくなった伝統的な登り窯を使っていて、年に7、8回火を入れる。これまでいくつも窯元にお邪魔してきたが、現役の登り窯を見るのははじめて。名前の通り、斜面を登るように複数の窯がつくられていて、かなりの大きさだ。「登り窯は温度管理が難しく、失敗も多い。だけど登り窯でしかできない美しさがあるんです」と井上泰秋さん。

ふもと窯の職人は5人。井上泰秋さんが小代焼の伝統的な技法などにこだわる一方で、息子の尚之さんはイギリスをはじめとする世界各地で見られる、スリップウェアという文様を得意とする。伝統的でありながらオリジナリティにも溢れ、日常で使いやすいところが魅力。

地獄温泉で、夜はろばた焼きを堪能。地獄にいながら、天国のような食事を楽しむ。

南阿蘇の白川水源。透明度の高い水がこんこんと湧いている、マイナスイオンたっぷりの空間。敷地内には、白川吉見神社がある。

裏側へまわることができる、熊本県小国町の鍋ヶ滝。普段の姿は幻想的らしいのだが、雨で増水していてかなりの迫力。傘を盾にして、果敢に裏側へまわり込むも、一瞬で全身ずぶ濡れに。