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Traveling Around the World:カンボジア篇

Travelog | 2010.03.18
カンボジアを代表する世界遺産「アンコール遺跡群」。毎日観光客が訪れるようになった現在も、千年前と変わらず人々の信仰の地として崇められている。変わらないことへの憧れと抱きつつ、新たな出会いを求め遺跡を歩いた。
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毎号掲載のコロンビアスポーツウェアとTRANSITのコラボレーションページ「Traveling Around the World」。今回の取材地はカンボジア!身も凍る東京を脱出し、一路カンボジア第2の都市シュムリアップへ。到着したのは夜も更ける23時。出迎えてくれた空港は、いかにも東南アジアといった雰囲気の建物。明日からの取材に胸を高鳴らせながら宿へと向かった。

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一夜明け、取材の始まり。アンコール遺跡群に入場するためには、「アンコール・パス」というものを購入する必要がある。まるで動物園のチケット売り場のようなカウンターでパスを購入。今回はお得な3日券だ。このチケット、1日券には入らないのだが、3日券には顔写真が入る。記念にもなり取材班はにっこり。

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目指すは、いきなりメインディッシュのアンコール・ワット。チケットカウンターから車で10分ほどで到着。これからの取材に気合いを入れる意味を込め、お堀のほとりで靴ひもをしっかりと締め直す。

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興奮を抑え、いざ中へ。アンコール・ワットの入口は合計5つあり、その昔は中心の入口は王様、その両脇の入口は従者たち、そして一番外側にある入口は象の入口と決まっていたという。中心の入口は補修工事中のため、従者の入口から入る。

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中に入り迎えてくれたのが、デバダー(女神)のレリーフ。アンコール遺跡群を代表するれ浮彫で、優しい笑顔と薄布をまとった姿がなんとも美しい。それぞれポーズや表情が若干違い、ついつい自分のお気に入りのデバダーを探してしまう。

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参道を進みアンコール・ワットすぐ手前までくると池が現れた。今は蓮の花の季節なので水面にはピンクの花が咲きほこっていた。水面に映るアンコールワットとのコントラストが素晴らしかった。

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ついに寺院内部に潜入。第一回廊の壁面には、古代インドの大長編叙事詩「ラーマーヤナ」のレリーフが施されている。どれくらいの時間をかけたら、こんなにも精巧で、今にも動き出しそうなものを彫れるのか?当時の人々の技術と芸術感覚に驚きと感動を覚えながら先に進む。

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第一回廊を抜け、第二回廊へ進むために階段をのぼる。ふと横を見ると、遠くの空に黄色い風船のようなものが浮いている。聞けば、「アンコールバルーン」という気球で、上空200メートルまで上がり、10分間ほど空から遺跡を見物できるというものらしい。しかし、今回の取材は予定がつまっているためあきらめるしかない......。

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第二回廊も抜け、いざ中心部の第三回廊へと向かおうとすると、なんと入口が閉まっている。なぜかと地元の人に聞くと、「今日は日曜日だろ、神様もお休みさ」と一言。その言葉に愕然としながらも、待っていてももちろん開かない。渋々出口へと向かう。落ち込んでいる私の前に現れたのはキュートな猿の親子。そのかわいさに一気にテンションアップ!夢中でシャッターをきってしまった。

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モンキーファミリーに別れを告げ、アンコール・ワットを後にする。次に向かったのは、古の時代に王都として栄えた「アンコール・トム」。その入口にあるのが巨大な顔が彫られた「勝利の門」とよばれる石門。もうすぐ門という所で何故か車がスローダウン。何事かと窓から顔を出すと巨大な象が何匹も前から歩いてくるではないか!思わず車に首を引っ込めてしう。恐る恐る顔を出すと、どうやら観光用の象らしい。時間により担当の遺跡が変わるため、このように移動するとのことだ。

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象の行列をかわし、アンコール・トムの奥へと向かう。目指すは中心に建つ「バイヨン寺院」だ。バイヨンには49の仏塔があり、その全てに四面仏が彫られている他に類を見ない遺跡だ。遺跡の中心をめざし、上へ上へと登る。今はカンボジアは冬とはいえ、気温は25度を超える。所々休まないと正直厳しい。というわけで、デバダーが施された美しい窓に肘をつき休憩。ここから見える風景はどれほど変わったのだろうと思いを巡らせた。

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遺跡を歩いている途中、何やら皆立ち止まり、夢中で写真を撮っている。疑問に思い聞いてみると、なんと撮っていたのは四面仏とのキス写真。ここを訪れた人はほぼ撮ると言う。というわけで取材班も、もちろん挑戦。

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アンコール・トムを後にし、次の遺跡へ。途中、自転車でフルーツを売る女性が目立つ。時計を見ればもうお昼を過ぎていた。地元の人が食後のデザートに買って行く。ラインナップは東南アジアらしい、マンゴー、バナナ、スターフルーツなどの南国フルーツ。鮮やかな色が食欲を誘う。

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フルーツの次は......豚。バイクの荷台に結びつけられた二匹の豚が、ドナドナ状態で颯爽と運ばれていった。果たして、あれは個人でどうにかするのだろうか?それとも飲食店に運ぶ途中だったのか?考えても答えは出ないが、あまりにも急で衝撃的な光景に、つい悩んでしまう。

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豚の安否を気にしつつ、次の目的地に到着。スポワンの木やガジュマルの木が遺跡を浸食し続ける「タ・プローム遺跡」。人工物が自然にのまれていく様を見られるとあって、人々に人気のスポットとなっている。写真では何度も見ていた光景も、いざ目の当たりにすると驚きの一言。木々は本当に力強く巨大だ。その混沌とした風景はまるで人類が滅んだ後の地球を見ているようだった。

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この遺跡では、素敵な出会いがあった。それがこのおばあさん。遺跡の中にはいくつか仏像が据えてあり、お参りができるようになっている。その一つで出会った。英語、ましてや日本語など全く通じないおばささんが、私たちがお参りを済ませるとにっこり笑い、赤い紐を腕に巻いてくれた。これはミサンガのようなもので、切れると願いが叶うそうだ。おばあさんの笑みは、デバダーの神々しいものとは違う、人間くさい笑顔。そのなんともいえぬ暖かさにいつのまにか私たちも笑顔になっていた。

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タ・プロームが抱える大きな問題が破壊。確かに、植物が遺跡を飲み込む様は魅力的だ。しかし、このまま放っておけば、近い将来遺跡は完全に崩れ、本当の廃墟になってしまう。打開策は一つ。木を切ること。しかし木を切れば、遺跡の魅力は半減、また自然保護の観点からも反対派は多い。話し合っている間にも木は生長する。果たしてどんな未来が待っているのだろうか。