INTERVIEW:『リトル・ランボーズ』監督ガース・ジェニングス氏

Info | 2010.10.03

80年代イギリスの小学校を舞台に繰り広げられる映画『リトル・ランボーズ』が
この秋11/6より公開される。

主人公は、教会の厳しいしつけのもとに育てられたウィルと、学校きっての不良少年
カーター。性格も家庭環境も違う2人が、映画『ランボー』に衝撃を受け、映画作りに
夢中になる様子を、子供らしい好奇心いっぱいに描いた感動作品だ。

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監督は、FAT BOY SLIMSUPERGRASSなどのミュージックビデオでも高い評価を受けているガース・ジェニングス氏。前作『銀河ヒッチハイク・ガイド』が全米・前英で大ヒットを記録したのが、記憶に新しい。そんな今大注目の彼に、製作の裏側について伺った。

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↑右がガース監督で、左はプロデューサーのニック・ゴールドスミス氏。これまで製作の多くを共にしてきた名コンビ。

---------- TRANSIT(以下T):監督自身、幼少時代に映画『ランボー』に強い印象を受けたようですが、憧れていたのはどんなところですか?

ガース・ジェニングス氏(以下G):僕が『ランボー(怒りの脱出)』を観た時、11歳だったんだけど、頭がぶっとんでしまいそうだったよ。ひとつに、僕はそれを"観てはいけなかった"から。あれは大人向けに作られていたんだね。ただ言えるのは、やっぱり映画は素晴らしかった。だって、一人の男が棒きれとナイフだけで、200人の男と戦ったんだからね!

---------- T:最も思い出深いシーンなどあればお教えください。

G:忘れられないシーンは、ランボーが自分の腕の傷口を縫い合わせるところだね。

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---------- T:二人の絶妙な関係性を再現するために、キャスティングには多くの時間をかけたそうですね。ウィル(役)とカーター(役)を選ぶにあたり、決め手となったものは?

G:キャスト選びに5ヵ月かかったんだ。役に合う、スーパーキッズを見つけるのは一苦労だった。二人とも、カメラの前でとても自然体なんだ。ナチュラルな魅力と性格を兼ね備えていて、映画のなかで彼らが"真の友達"になっていく様子が、手にとるようにわかると思う。

---------- T:『ランボー』の著作権をとるにあたって、シルベスター・スタローン氏へ連絡されて許可をもらったと聞きました。彼は映画を見てどんな感想をもたれていましたか?

G:実は...僕自身は会ってないんだ。でも、彼はメッセージを送ってくれて、映画をとことん楽しんだと言ってくれたんだ。それを聞いたときは、鳥肌が立つくらい感動したよ!

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---------- T:演出では「子供の目線で」ということを最も重視されたようですが、具体的なアイディアはどんなところから得たのですか?

G:僕は、子供の頃たくさん絵を描いていたんだ。僕以外には誰にもわからないクレイジーな絵をね。その経験は、映画の主人公たちが普段何を考えているのかを知るのに、とても役立ってくれたよ。デイビッド・オレイリーが、作品に出てくるイラストとアニメをすべて描いてくれて。彼は最高の形で、登場人物たちの夢に生命を吹き込んでくれたんだ。

---------- T:今回の作品は、大人も子供も年齢問わず楽しめるかと思いますが、特に監督自身が最も見てほしいのはどんな方ですか?

G:僕はいつも、いろんなタイプや年齢層、すべての人たちに向けて映画を作っている。まさに『スタンド・バイ・ミー』のような映画には、時代を超えて、時がたっても色あせない表現力と魅力があるからね。でももし制作時に、なにかしら決断を下さないといけない時はやっぱり「僕ら自身が楽しめること」を最も大事にしているかな。

---------- T:監督自身、幼少期に映画を作っていたと聞きました。この作品は、その頃の製作の思い出がもとになっているとか。どんな子供だったのですか?

G:非常に恵まれた子供だった。絵を描いたり、友達とホームビデオで映画を録ったり。何より、愛すべき両親がいたんだ。毎日本当に楽しくて、それこそひとつの物語ができるほどだよ。そんな僕の冒険が、ずっと後になってみんなに受け入れられたんだと思うと嬉しいよ。隣近所の人たちが、主人公ウィルの家庭のような教会※に入っていて、その思い出が、劇中の設定につながっているね。ウィルは劇中で、映画も観させてもらえなかったような、子供らしさを禁じられた毎日を送っていた。そんな想像力に富んだ少年の視点でとらえることで、僕たちは大人にもインパクトのあるものを作ることができたと思う。

※劇中でウィルの家庭が入っている、プリマス同胞教会のこと。テレビ、音楽、映画などの娯楽のほか、神に仕えること以外の一切の活動を禁止している。

---------- T:コモンルーム※はイギリス特有のものですが、監督自身の体験談などありますか?

G:実際は、とても退屈な場所なんだ。でも物語の中のシーンは、僕らがまだ幼すぎて入ることができなかった時に、部屋の中はどうなっているのか、あれこれ想像していたイメージから生まれたもの。コモンルームは(ある意味で)立ち入り禁止の場所で、教師たちでさえ入らなかったよ! 劇中の多くのシーンは、実際に身に起きた物事よりも、僕がどんな風に考えていたかによるものが大きいかな。

※学校にある娯楽室、談話室のこと。映画の中では、小学校6年生のコモンルームでの様子が描かれている。

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---------- T:80年代イギリスの要素が作品の随所から感じられる仕上がりになっていますが、監督自身の「古き良きイギリス」への思いが伝わってきます。

G:僕はそれほどノスタルジックな人間ではないんだけど、ウィルとカーターの純朴さを表現するためには、物語を80年代に設定するのが重要だった。現代(という設定)だと、発見に満ちたこの物語を楽しむには、技術が発達しすぎているからね。僕はこの時代の音楽や、特に映画が大好きなんだ。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』はお気に入りだよ。

---------- T:最後になりますが、子供の目線で制作した中で感じた、イギリスの今昔の違いなどはありますか?

G:これはトリッキーな質問だね!!!
社会を語るには、残念ながらつまらない一般論を避けることはできないな。ゲームや携帯を肌身離さず持ち歩く現代の子供と、その辺に落ちている枝や石で遊ぶしかなかった昔の子供たちとは、考え方や感じ方など、すべてがきっと違うだろうね。でも僕にとっては、間違いを犯したりリスクを負ったりする自由が、自分たちの時代だったんだ。


ガース・ジェニングス・・・1972年、イギリス生まれ。プロデューサーのニック・ゴールドスミス、ドミニク・ラングとコンビを組み、ミュージックビデオやテレビCMを手がける製作会社、ハマー&トングスを設立。blur、FAT BOY SLIM、SUPERGRASS、R.E.Mなどのミュージックビデオで世界的に高い評価を受ける。前作に『銀河ヒッチハイク・ガイド』(05)にて、映画監督デビュー。全米興行収入第一位を記録した。

映画『リトル・ランボーズ
公開:11/6(土)〜
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