写真家・宮本武さん初の写真集
アイスランドを舞台にした『スペクトラム』
クラウドファンディングも

Info | 2020.08.12

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これまでいろんな国を旅してきて、TRANSITでも多くの写真を撮り下ろしている写真家の宮本武さんが、初の写真集『スペクトラム』発売に向けてクラウドファンディングを実施しています。

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全編アイスランドで撮影した本作は、すべてアナログの中判カメラを用い、フィルムで撮影。アイスランドの大自然と、その地に生まれ育った人びとを記録した写真集になっています。男性のポートレート写真と作家自身の心の対峙、自然と人間に共通する強さと繊細さを通して、自身を、そして他者を受け入れるということを追求する作品です。

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今回の作品について、宮本武さんはこう語ります。

「私は物心が付くころから同性に特別な感情を抱き始め、早くから自身のセクシュアリティーが周りと違うことに気が付いていました。 写真を撮り始めてからも、世の中のこうあるべきという"強い男性像"と自分自身とのギャップに向き合ってきました。ファインダーを通して男性の本質と多様さを捉え、ドキュメントしたいという強い思いに駆られ、今日まで活動を続けてきました。アイスランドでは、とても自然体で、あるがままを生きる男性たちと出会うことができました。彼らは伝統的なマッチョや強さに凝り固まることなく、脆さや傷心といった心の弱さも共有してくれるのです。男性として生まれるが故に押し付けられる社会文化的イメージに囚われることのない、本来の自分。 心の中で探していた自分らしさがその地で見つかるかもしれない。そう思いながらアイスランドの虹を追いかけて、長い時間をかけて作品を撮りました」

人口わずか35万人のアイスランドは、世界の男女平等ランキングでも長年1位を誇る国。ジェンダーに縛られず、一人ひとりの個性が尊重される国でもあります。現在はパリに暮らしている宮本さんですが、10年ほど前に写真のワークショップでアイスランドを訪れたことをきっかけに、アイスランドに通うようになったといいます。ポートレートの被写体の男性たちも、そのなかで自然と出会っていった人たちです。

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宮本さんにとっては、アイスランドの自然美もこの写真集のなかで欠かせないものだと言います。いまでも活発に活動する火山。そこから湧き出る温泉。厳しく長い冬。

「この国に夢中になったもう一つの要素は、そのすばらしい自然です。 剥き出しになった島国の自然美は、まるで宇宙の一部のようであり、その宇宙を構成する圧倒的なエネルギーを間近に感じることができるのです。 滞在を重ねるうちに、大自然と折り合って暮らす人間も、自然の一部なのだと思えるようになりました。同様に岩や氷河などの自然も、人間の肌を彷彿させ、体内の一部のように感じられました。人間が平等であるという考えは、自然に逆らうことなく一体となることが前提にあるのかもしれません。 アイスランド人は、自身の陽の部分と陰の部分を併せ持ち、そのままの姿を崩さずに生きている気がします。 心の明るさも暗さもすべて受け入れる社会。そうした人々の心の奥深くに灯っている深みのある多様な光を写したいと思い、作品を撮りました」

題名にある「スペクトラム」とは、「 虹の七色のような"光の成分を分解し連続的に並べたもの"、もしくは "二極の間にある、あいまいな境界を持つ連続したもの"と解釈しています」と宮本さんは言います。ジェンダーを超えて、圧倒的な自然のなか、一人の個体としての人間を見つめ直す。アイスランドに見た光を、感じ取ってください。
興味のある方はこちらのウェブサイトから、応援することができます。写真集や銀塩プリント、アイスランドの音楽家によるEPヴァイナルレコードを購入できるプランもありますよ。


宮本 武(みやもと・たけし)
1974年、福岡県出身。獨協大学外国語学部英語学科卒業。幼少期から自己とは異なるものや異文化に興味を惹かれ、アメリカ、香港、オーストラリアでの海外生活を経て、現在はフランスを拠点に活動中。異なる文化要素の果てには「普遍的で原初的な、美しい自然体が必ず存在する」という視点で、ジェンダーや自然をテーマに作品を手がけるようになる。

お詫びと訂正