WEB特別連載「世界の癒やし」
体を整える8つのインドのスパイスレシピ

COLUMN | 2021.01.21

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世界三大伝統医学のひとつ、インド発祥のアーユルヴェーダは、「医食同源」を原理とし、スパイスを調味料としてだけでなく、薬としても利用してきた。カレーだけではないスパイスの活用法を、体調の悩み別に紹介していく。
 
■スパイスとアーユルヴェーダの関係
 
3500年前を起源とするアーユルヴェーダの古典「チャラカ・サンヒター」には、こんな言葉がある。「正しい食物をとることが人間を健康に発育させる唯一の方法だ」。アーユルヴェーダでは、食物がどのように体に影響するのかを「ドーシャ理論」によって説明する。
 
ドーシャというのは、心と体のエネルギーを指す。一方では「不純なもの」とも訳され、増えすぎると心身のバランスを崩してしまうものだ。大きく分けるとドーシャには3つの種類があるとされている。風のエネルギー「ヴァータ」は、主に体内の運動や伝達を、火のエネルギー「ピッタ」は代謝や消化を、水のエネルギー「カパ」は免疫力や体力の維持を担っている。人によって体質的に増えやすいドーシャがあり、それが何かを把握することで自分に合った生活や食べ物などがわかるのだ。アーユルヴェーダの体質診断を無料でできるWEBサイトもあるようなので、まだ診断したことがない人はぜひ試してみては。
 
アーユルヴェーダでは、体内に存在する3つのドーシャのバランスが崩れるとき、体調が崩れると考えられている。そのバランスを整えるのが、天然植物であるスパイスの役目だ。野菜や果物、スパイスやハーブまで、あらゆる植物や食品を、ドーシャへ作用の観点から理解して使用。インドではちょっとした不調の際、家庭にあるものでどう工夫し、心身を整えているのか。8つの症状に合わせた、簡単なスパイス活用法をまとめた。
 
*<風><火><水>のマークは、その不調がどのドーシャが増えすぎることにより起こされるかを意味している。
 
 
1. 熱が出た<風><水>
 
【ショウガ糖】
 
ショウガ+黒砂糖+長コショウ
 
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(作り方)
 
切ったショウガに粗めの黒砂糖と長コショウを入れて、炒める。皿の上で少し乾燥させたら、粉の黒砂糖をまぶす。
 
(ポイント)
 
消化・促進作用のあるショウガをお菓子として常備薬に。体を温めて、風邪のひき始めや喉の痛みにも効く。
 
 
2. 二日酔いがひどい<風>
 
【ターメリックミルク】
 
ターメリック+牛乳+バター
 
201225_2_3.jpg©Marco Verch
 
(作り方)
 
バターにターメリックを溶かし、牛乳を加えて、沸騰する直前まで温める。ちなみに、インドではバターではなく、溶かしバターから不純物を取り除いたギーと呼ばれるピュアオイルを使って作られるのが一般的。
 
(ポイント)
 
肝心機能を高めるターメリック(ウコン)は飲酒の前後にとると効果アリ。体を乾燥させる働きもあるので、油分も一緒にとるとよい。
 
 
3. 生理痛が重くて貧血気味 <風><火>
 
【はちみつヨーグルト〈シュリカンド〉】
 
ヨーグルト+サフラン+はちみつ
 
201225_2_4.jpg©︎ Vadani Kaval Gheta
 
(作り方)
 
サフランは水に浸して色を出しておく。水気を切ったヨーグルトに色出ししたサフランとその汁を入れ、はちみつをトッピング。
 
(ポイント)
 
サフランは女性の生理痛や月経不順によく効く。また、皮膚や顔色をよくする効果もあり、西インド地方では、シュリカンドが伝統的なデザートとして食べられてきた。ただし、妊娠中の女性にとっては体によくないので、注意が必要だ。
 
 
4. 頭がズキズキ痛い <風>
 
【マッサージクリーム】
 
市販のクリーム+ナツメグ粉
 
(作り方)
 
普段使っている市販のフェイスクリーム(またはボディクリーム)にナツメグ粉を混ぜるだけ。少し温めてから額にのせる。
 
(ポイント)
 
ナツメグは冷えや不安による頭痛、とくに後頭部がズキズキするような痛みに効果がある。痛みを感じる場所にもクリームを塗り、頭をマッサージしてほぐすとよい。ナツメグはほかにも下痢や食欲不振にも効く。ただ、弛緩作用があるため多量使用するのはNG。
 
 
5. 咳が出て眠れない <風><火>
 
【ホットアップルワイン】
 
クローブ+シナモン+赤ワイン+レモン+りんご
 
(作り方)

クローブとシナモンを水に浸して成分を出し、赤ワインを加えて煮る。最後にすりおろしりんごと輪切りのレモンを入れて完成。
 
(ポイント)
 
クローブはスパイスのなかで一番刺激があるともいわれ、甘くて強い独特な香りをもち、気管支炎や消化不良に効果があるとされる。アルコールが飲めない人は、赤ワインの代わりにりんごジュースを使用するとよい。
 
 
6. 心配事があり、情緒不安定 <風><水>
 
【カルダモンチャイ】
 
カルダモン+紅茶+牛乳
 
201225_2_5.jpg©︎ Sowmya Ranganathan
 
(作り方)
 
カルダモンを水に浸して沸騰させ、紅茶と牛乳を足して弱火で煮立てる。
 
(ポイント)
  
刺激作用やリフレッシュ作用のあるカルダモンは、神経性の不調に効く。カフェインを中和する働きもあり、清涼感ある味わいとともに頭をすっきりさせる。
 
 
7. 体が火照る <火>
 
【コリアンダー&ミントウォーター】
 
コリアンダーシード+ミント
 
(作り方)
 
コリアンダーシードと、新鮮な生のミントを水に入れ、一晩浸しておくとできあがり。
 
(ポイント)
 
2つのスパイスは、心身の熱や興奮を鎮める作用がある。時間をかけて水出しすることにより、成分がしっかり抽出される。
 
 
8. お腹が張る、ゴロゴロする <風><水>
 
【ふりかけ〈ポディー〉】
 
ヒーング+ムーングタール(豆)+鷹の爪+ミント+アーモンド
 
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(作り方)
 
まずは緑豆のムーングタールと鷹の爪、アーモンドを乾煎りする。その後ミントと一緒にミキサーにかけ、塩とヒーングを加えて完成。南インドなどのミールスで、ライスの横にあったり、上にかけてあったりする、インドの定番ふりかけ。
 
(ポイント)
 
ヒーングはかなり香りが強いが、消化を助け、体のガスを抜く。乾燥しているため、暑い南インドでも比較的保存がきき、体にもよい食べ物として重宝されてきた。
 
スパイスひとつひとつの効能を把握すれば、料理にも飲み物にも気軽に取り入れて、心身を整えることにも役立つかもしれない。簡単にできるものばかりなので、ぜひお試しを。
 



 
*この記事はTRANSIT35号インド・スリランカ特集「癒やしのスパイス」内の企画を再編集したものです。
 
 
text=ANNA HASHIMOTO
 
 

お詫びと訂正