<TRANSIT VOICE 旅するポッドキャスト>
第七回のテーマは「K2の頂からシリア沙漠の世界へ」

VOICE | 2021.03.10

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<Spotify>オリジナル・ポッドキャストシリーズ「#聴くマガジン」の『TRANSIT VOICE 〜旅するポッドキャスト〜』。3月11日配信回のゲストは、写真家の小松由佳さんです。





世界でもっとも困難な山といわれるK2の、8611メートルの山頂の景色を、日本人女性として初めて見つめた小松さん。優れた冒険家に贈られる植村直己冒険賞も受賞した彼女が次に目指したのは、意外にも、山の頂ではなく麓の世界でした。


中国からユーラシアを西へ西へ、草原や砂漠の遊牧民たちと生活を共にしながら小松さんは旅をします。とくに心を惹かれたのが、シリア中部の沙漠でラクダと生きるひとたちでした。


21031002.jpg2008年のパルミラ沙漠にて。©YUKA KOMATSU

21031003.jpg家族や友人たちとラーハの時間。ラーハとは、アラビア語で穏やかな団らんの時間を意味する。©YUKA KOMATSU

21031004.jpg Arab breakfast ©YUKA KOMATSU


日本は自然に恵まれた島国で、多くの人たちの思想の根底に自然信仰があります。真逆ともいえる砂漠の暮らしやイスラム教の世界にはあまりなじみがありませんが、だからこそ好奇心や憧れは強くあるもの。TRANSITも、2015年にイスラーム特集、2019年に砂漠の特集をくみました。


21031005.jpgTRANSIT特別編集号「美しきイスラームという場所2015」※現在売り切れ中です


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TRANSIT44号「砂漠の惑星を旅しよう」



イスラーム特集を発売した2015年当時は、「アラブの春」やISによる事件が多発して、連日メディアをにぎわせていた頃。読者の反響はどちらも非常に良く、中東や砂漠の世界のことを知りたい人が実はとても多いということを実感しました。


いま、コロナ禍の報道のかげで、シリア内戦を含む中東の世界のニュースを目にする機会は激減しています。しかし、小松さんの本を読みお話を聞くと、シリアという国のこと、そこで暮らすひとびと、そこで暮らせなくなってしまったひとびとのことについて、想像せずにはいられないのです。
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『人間の土地へ』小松由佳著、集英社インターナショナル




小松さんはシリア人のラドワンさんと惹かれ合うようになりますが、2011年に勃発したシリア内戦によりひとびとの暮らしは一転。家族が反体制派として捕まってしまったり、ラドワンさんがヨルダンへ脱走しシリア難民となったりと、さまざまな困難が襲いました。しかしそれらを乗り越えて二人は結婚し、現在は二人の子どもとともに一家4人、東京で暮らしています。


改宗もして結婚したからといって、まったく異なるルーツをもつ他人同士が本当に理解しあえるかといったら決してそうではありません。
「ラドワンは、未踏峰の山のようなもの」。
「K2に登るよりも大変」だという小松さんの現在の生活。文化の違うものたちが共に生きることの難しさと希望が『人間の土地へ』には描かれています。


現在、小松さんはシリア難民をテーマに取材をつづけています。コロナ禍ではありますが、今年の春にはまた現地へ行く予定だといいます。


21031007.jpg大河のほとりからきた一家 ©YUKA KOMATSU

21031008.jpgサミールと母 ©YUKA KOMATSU

21031009.jpgふたつの故郷をもつ子どもたち ©YUKA KOMATSU



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