東京の未来を考えるキーパーソン
コロナ禍もホームレスを支える
大西 連さん
【51号 東京を時空旅行!】

Info | 2021.04.22

約1400万人もの人口を誇る巨大都市・東京。
  
多くの人が暮らしているからこそ、多様な個性や暮らしのかたちがあり、それゆえの課題や衝突も生まれています。
  
今、そのような問題を解決し、誰にとっても心地よい東京を実現するため、 声を上げている人びとがいます。
 
現在発売中の『TRANSIT51号 東京 江戸から未来へ時空旅行!』では、東京の明るい未来を実現すべく、課題解決に取り組む方々に話を伺いました。
   
NPO法人 自立生活サポートセンター・もやい理事長の大西連さんのお話の一部を、抜粋してご紹介。新型コロナの影響もあって、さらに深刻化している東京の貧困問題について考えていきます。
 



 
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おおにし・れん ● 22歳の頃友人に誘われてホームレス支援活動を行ったことが現在のルーツ。著書に『すぐそばにある「貧困」』(ポプラ社) 『絶望しないための貧困学』(ポプラ社)。もやいでは居住場所の支援のほか、コミュニティスペースの運営などもしている。
 
  
 
セーフティネットの前の救済制度を作りたい

20210422_02.jpg2021年2月下旬、約270人に食べ物やマスクなどを配布した。
 
公園や河川敷などで生活する東京のホームレスの人はおよそ1000人 。
 また、ネットカフェや友人・知人の家、解雇されれば退去となる会社の寮など、住居が不安定な「ホームレス状態」である人は、4000人以上といわれている。
 
昨今は新型コロナの影響で生活困窮者はさらに増えており、新宿区を拠点とするNPO 法人自立生活サポートセンター・もやいへの相談件数は以前の1.5〜2倍に増加した。
 
そんな状況を受け、もやいでは、これまでのようにホームレスの人の住居探し、連帯保証人の引き受けといった サポートのほか、食糧や衛生用品セットの無料配布、新型コロナに関する相談会の実施と、精力的に活動をつづけている。
 
「今困っている人は、新型コロナのせいで立場が弱くなったわけではなく、以前からそうだった。 これまでもさまざまなレベルで指摘があったけれど、国や公的機関が向き合ってこなかった証拠でしょう。新型コロナのおかげで問題が浮き彫りになっただけだと思います」
 
そう語るのは、2014 年からもやい理事長を務める大西連さん。2021年 1月には参議院予算員会に参考人として招致され、コロナ禍の生活困窮者支援の現状と政策的な課題について答弁した。
 
「日本は、"会社を支える=労働者を守れる"と考えている。それも重要ですが、非正規雇用はその傘に入っていないんです。マスク配布以外にも個人への支援が必要。最悪の状態に陥る前に支援する制度を作ろうという議論をしてほしいと 思っています。多くの人は本来、セーフティネットは使いたくないでしょうから」
  
日本のセーフティネットとして存在するのが、 生活保護制度や自立支援制度。東京都にも独自の保護制度としてTOKYOチャレンジネットがある。
 
諸外国と比べると日本は国民の権利が保証され、制度も整っているのだが、あまり効果的に活用されていないというのも課題のひとつ。利用したくてもまわりの目が気になったり、生活保護申請時に家族に連絡がいくことが障害になったりするケースも多いという。
 
「貧困を"自己責任"という人もいるけれど、どこまでを自己責任とするかはとても恣意的なもの。 その一言で片付けてしまうと永遠に問題は解決しません」
   
誰もが必要なときに適切なサポートを受けられるように、そして最悪の事態に陥る人が少しでも減るように、大西さんはその正義感と責任感で人びとと向き合い、彼らに手を差し伸べている。
 
text=MISAKO TATEOKA
 
210417_transit51.jpgTRANSIT51号の誌面
 


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『TRANSIT51号 東京』はこのほかにも東京の歴史・現在・未来について深く知る企画が詰まっています。

時代に想いを馳せて、多層な東京の街を散策してみませんか?


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