平成・令和を感じる東京散歩
再開発が生むニューフロンティア
【51号 東京を時空旅行!】

COLUMN | 2021.04.29

江戸〜昭和を経て、急速に都市開発が進んだ東京。大都市は、西や東に拡張し、さらには縦にも伸びていった。平成・令和に誕生したランドマークを巡ると、東京のエリア開発が見えてくる。それは、社会や経済の大きな変化に応えていく、柔軟な東京の姿でもあった。
 
 
【平成編】
 
まずは浅草へ向かう。昭和の象徴が東京タワーだとすると、平成の象徴は〈東京スカイツリー〉だろう。634メートルの高さを誇る電波塔は、東武鉄道により貨物列車ヤード跡地に開業された。電波塔でありながら商業施設も併設されて、多くの観光客が訪れている。浅草エリアを中心として、蔵前や清澄白河などは"イーストトーキョー"として、近年注目されつつある。
 
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©️T.Kiya
 
[浅草エリア]
〈東京スカイツリー〉
東京都墨田区押上1-1-2

 
 
東京の東側からスタートしたら、次はさまざまな物議を醸した〈豊洲市場〉へ。2018年10月に開場したこの市場は、築地市場の1.7倍の広さで約40万平方メートルを誇るが、東京ガスの工場跡地であり、土壌汚染が問題になっている。
 
そもそも豊洲エリアの埋め立ては大正後期から昭和前期にかけて関東大震災の瓦礫の処理もかねて進められた。工場地帯やエネルギー基地として東京の経済を支えていたが、1980年代には地価高騰による人口流出を防ぐために規制が緩み、2000年代には豊洲・晴海・有明などの湾岸エリアに高層マンションが多く建設され、中流ファミリー層に人気に。東京オリンピックの選手村を開催後にマンションとして転用するという「選手村マンション」の今後も東京オリンピックの開催不透明により大きく揺れている。
 
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©️cyberwonk
 
[豊洲・晴海・有明エリア]
〈豊洲市場〉
東京都江東区豊洲6-6-1

 
 
さらに東京湾寄りに進んで行って、お台場エリアへ。東京見物のシンボルである〈フジテレビ本社〉は1996年に誕生した。そもそも1980年代に東京の国際化や情報化を進めるために臨海副都心を開発する東京テレポート構想というものがあり、台場や青海が中心エリアとなっていた。1990年代には、レインボーブリッジやゆりかもめが開通、東京ビッグサイトやフジテレビ本社なども建設され、お台場エリアは広大なスペースを舞台に、未来志向の大規模開発を行ったのだ。
 
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©️gullevek
 
[お台場エリア]
〈フジテレビ本社〉
東京都港区台場2-4-8

 
 
さて、次は陸に戻って丸の内・日本橋エリアへ。三菱地所は縄張りともいえる大手町・丸の内・有楽町を開発し、2000年代に〈丸ビル〉や新丸ビルを竣工。また、日本橋では不動産を多くもつ三井不動産が、〈コレド日本橋〉やコレド室町をオープンして、東京オリンピックを見据えた外国人観光客も呼び込む"和モチーフ"のまちづくりを進めている。
 
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©️Wally Gobetz
 
[丸の内・日本橋エリア]
〈丸ビル〉
東京都千代田区丸の内2-4-1

 
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©️nakashi
 
〈コレド日本橋〉
東京都中央区日本橋 1-4-1

 
 
次に向かったのは、新宿。新宿駅南口にある〈バスタ新宿〉は2016年に開業、日本最大規模のバスターミナルだ。もとは新宿西口の19箇所に分散していた高速バス乗り場が集約したものであり、以前は乗り換えなどの利便性があまりよくなく、また渋滞や事故の要因にもなっていた。タクシー乗降場も併設したバスターミナルとして誕生したのがバスタであり、訪日外国人の地方都市観光の導線を変えた。
 
新宿駅南口のエリアは、西口と東口を結ぶエリアとして平成に入ってからタカシマヤタイムズスクエアや新宿サザンテラスの開業によって賑わいを見せており、さらに2016年にはJR東日本の子会社ルミネが展開するファッションビルNEWoManもオープン。平成時代に、外国人も行き交う一大ショッピングエリアへと変身した。
 
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©️Dick Thomas Johnson
 
[新宿南口エリア]
〈バスタ新宿〉
東京都渋谷区 千駄ヶ谷5-24-55

 
 
続いて、渋谷へ。東急不動産を中心に、複数の鉄道会社が路線拡大を行いカオス化している渋谷駅周辺の大開発が行われている。その背景には、災害へ備えるための老朽化した駅の改修、オフィス需要の高まりにある。1999年ごろから渋谷周辺のベンチャー起業家などにより、有能な起業家を輩出しようとする「ビットバレー(「渋い:Bitter」と「谷:(Valley)」をかけてBit Valley)構想」が謳われていた。2012年に開業した〈ヒカリエ〉を筆頭に、2027年まで大型開発がさらに進む予定だ。
 
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©️Dao-hui Chen
 
[渋谷エリア]
〈ヒカリエ〉
東京都渋谷区渋谷2-21-1

 
 
そして、かつては"ヒルズ族"という社会現象を生み出した六本木へ。森ビルとテレビ朝日が主導し、2003年に完成した〈六本木ヒルズ〉はその象徴だ。もともとは小規模住宅が密集していた地域を、オフィスビルと商業施設、マンションが併存する新しいコンセプトがエリアを一新。IT会社の経営者や富裕層を魅了するエリアとなった。
 
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©️Kanesue
 
[六本木エリア]
〈六本木ヒルズ〉
東京都港区六本木6-10-1

 
 
 
【令和編】
 
さて、令和に改元してまだ間もないが、今後この時代を象徴するスポットになるのはどこだろうか。
 
まず注目したいのは、小田急電鉄が手がける〈下北線路街〉。小田急線の「東北沢駅」〜「世田谷代田駅」の地下化にともない、地上の線路跡地を開発して生まれた全長1.7キロメートルの"街"だ。地域のプレーヤーを巻き込み、近隣住人の愛着を育もうとするコンセプトで、POP UPが開ける空き地スペースや、実験的な居住型教育施設「SHIMOKITA COLLEGE」、温泉旅館、コミュニティスペース併設の保育園、 多種多様な個人店が集結した商業施設「BONUS TRUCK」など、このエリアだけで生活のすべてが完結しそうなエリアになっている。
 
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[下北沢エリア]
〈下北線路街〉
東京都世田谷区代田2-36-12〜15(BONUS TRUCK)

 
 
続いては、日比谷線の新駅の名前にもなった虎ノ門ヒルズへ。虎ノ門ヒルズヒルズ自体は2014年に開業しているが、令和なってから誕生したのが2020年開業の〈虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー〉。森ビルが手がける地上36階建て、大規模オフィスと商業施設を擁する超高層複合タワーだ。
 
大企業の事業創出を支援する会員制インキュベーションセンターである「ARCH」や東京中の名店が集まる食のランドマーク「虎ノ門横丁」などが注目されており、ビジネスマンが虎ノ門の街に回遊し、イノベーションが生まれるような環境が整備されている。渋谷や六本木に続き、新たな産業を創出し、牽引するエリアになりそうだ。
 
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©️Scott Kouchi / Real Estate Japan
 
[虎ノ門エリア]
〈虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー〉
東京都港区虎ノ門1-17-1

 
 
2020年に開業、平成末期から議論に上っていた〈高輪ゲートウェイ駅〉周辺の品川エリアも変貌をとげている。JR東日本が主導する再開発プロジェクト「グローバルゲートウェイ品川」では国際的な魅力のあるまちづくりを目指す。江戸時代から人や物が交わる玄関口であり、最初に鉄道が通った歴史あるエリア。国際水準のマンションやインターナショナルスクール、大型の文化施設やレストラン街が次々に生まれているが、今後日本の新たな国際交流の拠点となっていくのだろうか。
 
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©️Tatsuo Yamashita
 
[品川エリア]
〈高輪ゲートウェイ駅〉
東京都港区港南 2-1

 
 
社会の移り変わりに合わせて変貌してきた東京の街。エリアのディベロッパーに注目しながらその街づくりを見ていくと、新たな発見が得られそうだ。
東京についてさらに知りたくなったら、TRANSIT東京号も合わせてどうぞ。

text=Anna Hashimoto 
 
 
*今回紹介したスポットをマップにまとめました。

 
 

お詫びと訂正