ハレとケの京の歳時記
【52号 小さな京都の物語を旅して】

Info | 2021.06.25

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数々の神社仏閣や、山や川といった自然が身近にある京都は、日々がハレの行事やケの習慣で彩られています。

好評発売中の「TRANSIT52号 小さな京都の物語を旅して」では、そんな京都に暮らす人の、なんでもないけど愛おしい、いつもの一年をまとめました。




-春-
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鴨川沿いに桜がつづき、祇園白川から岡崎、哲学の道へ、ひたすら歩くだけでも心満たされる季節。誰にもお気に入りの桜があって、一年に一度、会いに行くのが楽しみ。


散り落ちて川面がピンク色になる花筏まで、長々と桜を楽しんだら、山笑う5月。京都は山が近く、新緑が迫り来るかの如く鮮やか。大文字山ハイキングにもちょうどいい。


五月晴れの下、藤森祭や葵祭といったお祭りも多い。お祭り=ハレのごちそうといえば、すっかり京都名物となった鯖寿司。


季節の和菓子は桃の節句のひちぎり、桜餅、端午の節句の柏餅と移り変わり、ちょっと先取りでいただくのが粋。
「早いなあ、 もうはじまってるわ」と言いながら買わずにいられない。



-夏-
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梅雨の頃、心を和ますのは紫陽花。一年の半分を過ぎて、茅の輪をくぐり、上半期の穢れを祓う。氷に見立てた暑気払いの和菓子・水無月をいただき、いよいよ夏がやって来る。


7月に入れば「コンコンチキチン」とお囃子が聞こえ、街は祇園祭一色。
祇園祭は疫病を祓うお祭り。厄除けのちまきを授かり、お守りとして玄関先へ。山鉾巡行は何度見ても、いや、一年一年見るほどに感動する。


五山送り火はお盆の締めくくり。お盆に帰ってきはったお精霊さんを見送る火。順々に五山に火が灯り、静かに消えていくまで、もう会えない人を思う。


また来年、しみじみとそう思いながら。かき氷、川床、ルーフトップバー......伝統も新しいものも楽しんで蒸し暑い夏が過ぎていく。



-秋-
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街にいながら、紅葉が楽しめる。それが京都のいいところ。 山と川がそばにあって、神社仏閣もごく身近。「今年はよう冷え込んだから、去年より色づきがええね」と、紅葉の話が挨拶がわり。紅葉見物はぜひ、極楽浄土感が高まる、陽光溢れるなかで。


鞍馬の火祭をはじめ、秋はユニークなお祭りが多い。秋の実りで毎年作るずいき祭のお神輿、夜の町をゆく粟田神社の大燈呂、御香宮神社神幸祭の花傘も、カラフルでエネルギッシュ。 神様に喜んでもらいたい思いが溢れる。


さらに待ち遠しいのが栗。産地の丹波から、おいしい栗が出回るのだ。お赤飯は栗入りとなり、栗蒸し羊羮、栗おはぎと、この時季だけの美味が数多あって、「もう食べた?」と競い合う、誘惑の多い季節。



-冬-
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しんしんと底冷えする京の冬。雪はあまり降らないけど、朝起きて積もっていれば名所で雪見を。金閣寺や清水寺といった、 おなじみの場所も雪景色で一変、新たな感動がある。


師走は新年の準備で忙しく、白味噌やお正月飾りを準備して、いつも通り新年を迎えるために段取りよく。玄関先でよく見られるのは門松の原形といわれる、根曳松。地に足がついて生活ができるように、そんな願いが込められる。


年が明ければ初詣、十日ゑびす、節分祭、初午とめでたい行事を巡り、せっせと福集め。
とりわけ節分祭は一年に一度、鬼たちがやって来る、最高のエンターテインメント。追儺式や鬼踊りを楽しみ、福豆やお札を授かって魔除けは万全。いい一年になりますように。


text = AKI MIYASHITA


宮下亜紀(みやした・あき)●京都に暮らす、編集・ライター。出版社での雑誌編集をへて、生まれ育った京都を拠点に活動。「はじめまして京都」トノイケミキとの共著(ピエブックス)など、京都の暮らしにまつわる書籍や雑誌の編集を手がける。


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「TRANSIT52号 小さな京都の物語を旅して」は、日本が世界に誇る「京都」について深く知ることができます。伝統と新しさ、独自の文化が育まれた京都に想いを馳せて、旅してみてはいかがでしょうか。

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