山の京都へ小旅行!
美山の里山文化と大自然に触れる
【52号 小さな京都の物語を旅して】

COLUMN | 2021.07.05


華やかな都もいいけれど、京都の郊外がいまアツい。そんな声を耳にして、中心部から足を延ばしてみた。 行き先は京都市内から車で北へ1.5時間ほど、茅葺き屋根の民家が保存され、美しい里山が広がる美山町。自然に触れるだけではなく、日本人の古来の生活文化を改めて学ぶような、とある休日の過ごし方を紹介しよう。

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©️bethom33
  
ススキやヨシを材料とし、世界のなかでもかなり特殊で原始的な家づくりの手法とされる茅葺き。日本全国にいる茅葺き屋根の職人は100人ほどといわれており、茅葺きの民家は希少性が高い。美山町には約60棟の茅葺き家屋があり、さらに町中には茅葺き文化を知ることのできる美術館や体験施設がある。

 

〈美山FUTON & Breakfast〉は、茅葺き職人自身が経営する、一棟貸しの宿。ほかにも3棟の茅葺きの家が宿をやっており、どれも茅葺き職人が自ら手がけ、プロデュースした民家だ。さらにこの宿では茅葺き体験を実施している。たっぷり2時間を使って、茅葺きの仕組みや歴史のレクチャー、そして屋根組での作業を体験することができるのだ。
 
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美山FUTON & Breakfast
京都府南丹市美山町島狐岩52

 
茅葺き文化のことをもっと知りたくなったら〈美山かやぶき美術館・郷土資料館〉へ。築150年の茅葺き民家を再活用したというこの施設では、実物の屋根裏を鑑賞しながら茅葺きの仕組みを知ることができるだけでなく、絵画・陶芸・ガラス・木工・布など地元を中心とした芸術家の季節展もあり。隣接の郷土資料館では、美山の暮らしの記憶をたどるような民具や文献など、約1100種類の貴重な資料が残されている。
 
〈美山かやぶき美術館・郷土資料館〉
京都府南丹市美山町島朴ノ木21
営業時間:10:00~16:30
定休日:毎週月曜日(月曜日が祝祭日の場合は翌日)
12月~3月冬季休館
*最新の情報はWEBサイトで確認してください。

 
茅葺きの奥深さに触れた後は、〈美山の季節料理 ゆるり〉でランチ。ゆるりの魅力は、春夏秋冬で異なる里山の味が楽しめるところ。春は山菜、夏は鮎、秋は松茸、冬はジビエ。建物ももれなく築150年の茅葺きの民家で、農村の趣がある素朴な店内で、地元素材を使った料理が楽しめる。ランチコースの前菜の定番である新鮮な鹿肉料理は、あっさりとしながらも肉の旨みが凝縮されていて、たまらない!
 
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美山の季節料理 ゆるり
京都府南丹市美山町盛郷佐野前15
営業時間:昼12時〜14時 夜18時〜(一組限定)
定休日:なし[予約制]

 
腹ごしらえを終えたら、アクティビティへ。山派、川派、どちらも満足させる自然が待っている。
 
山派のあなたには、〈芦生の森〉でのトレッキングツアーがおすすめ。といっても、かなり本格的なものなので、準備と心構えが必要だ。芦生の森は、京都大学が研究のために長年管理している約4,200haの広大な森であり、由良川の源流地域にある。著名な植物分類学者である中井猛之進が「植物ヲ学ブモノハ一度ハ京大ノ芦生演習林ヲ見ルベシ」と書き残したほど、希少な自然が残る森だ。「巨大芦生杉群コース」「下谷・メタセコイアコース」など7コースほどがあり、個性あふれる専属ネイチャーガイドが同行して密度の濃い解説をしてくれる。
  
 
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〈芦生の森〉
ツアー内容の詳細は下記よりご確認ください。
美山町自然文化村河鹿荘 主催
芦生山の家 主催

 
川派の人は「美山川のラフティング」をやってみよう。美山川は里からの距離が非常に近く、気軽に川遊びや釣りに行ける。主宰しているのは、自給自足体験ができる宿〈田歌舎〉で、生き物や植物など自然のことに詳しいスタッフがガイドしてくれる。ラフティングは8人乗りで、起伏に富み、深い淵もある美山川をスリル満点に楽しむことができる。透明度の高い美山川でぜひリフレッシュを。
 
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田歌舎
京都府南丹市美山町田歌上五波1-1

 
*各アクティビティには、年齢制限や条件、注意事項などがあり、予約が必要です。詳しくは各WEBサイトでご確認ください。
 
アクティビティを終えたら、元気のある人は〈聰山美術館〉へ。ここは美山の自然を深く愛した洋画家、高木 聰(たかぎさとし)の遺作が集められた美術館で、50点ほどの所蔵品の一部が展示されている。高木氏は、京都学芸大学(現・京都教育大学)で学んだのち、約11年間の美術教師を経て、画業に専念。「タカギレッド」と呼ばれた独自の赤色を基調としたスタイルで自然や静物を描き、フランスのパリ・ル・サロン展で優秀賞を受賞するなど国際的にも活躍した人物だ。美山を心の故郷とした画家の作風には、美山の自然が影響を与えているかもしれない。
 
〈聰山美術館〉
京都府南丹市美山町江和 観光農園江和ランド内
営業時間:9:00~16:30
定休日:水曜

 
 
夕食と宿泊は〈美山町自然文化村 河鹿荘〉で。美山町産の杉材をふんだんに使ったログハウス調の宿泊施設で、吹き抜けのロビー、冬には暖炉に火が灯っているなど、思いっきり羽を伸ばせる空間。由良川を眼下に望むレストランでは、季節の食材に加え、鹿や猪といったジビエを通年堪能できる。また、河鹿荘は先述の芦生の森でのトレッキングツアーや、渓流釣りなどのプログラムも実施している。翌日も、美山町の自然を満喫できる特別な体験ができそうだ。
 
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美山町自然文化村 河鹿荘
京都府南丹市美山町中下向56

 
*今回紹介した場所は、下記マップにまとめています。

*施設の営業日や営業時間は、HPをご覧いただくなどして各自ご確認ください。


TRANSIT52 京都特集の「京都郊外学習」企画にも、京都市以外の魅力溢れる郊外の京都スポットを紹介しているので、合わせてお楽しみください!


text=ANNA HASHIMOTO
  
  

お詫びと訂正