世界のカレーストーリー #1
医食同源のスリランカカレー
【53号 世界のスパイスをめぐる冒険】

COLUMN | 2021.09.21

インドや日本のみならず、世界に広がるカレーネットワーク。
その味を家でも味わいたい!というわけで、
おいしいカレーに出会える東京の料理屋さんのキッチンへ。
web記事では本誌よりもロングインタビューでお届けします。
まずはインド洋に浮かぶスリランカから!

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Curry Story#1 / Sri Lanka
「スリランカ人は体と相談するのが上手。どの家でもお母さんが家族の体調をみながら毎食のカレーを作っています。暑いときはスパイスを少なく味付けを薄くして消化がよいように。寒いときはショウガ、ニンニク、黒コショウを多めに味を濃くして、ごはんがたくさん食べられるように。スリランカ現地のカレーやサンボル(和えもの)はかなり辛いものもありますが、そのスパイス使いにしても、体の芯からじんわり温めたいなら黒コショウ、瞬時の辛さで汗をかいて体温を下げたいならトウガラシを入れたりと、使い分けているんですよ」と語るスリランカ人オーナーのカピラ・バンダラさん。お店で使っているスパイスは、奥さんのスリランカの実家から月に2、3度送ってもらっているという。


スリランカのカツオ節・ウンバラカダとスパイスをベースに、食材の味がすっきりと引き出されたカピラさんのカレーとサンボルは、たくさん食べても胃もたれしないし、不思議とスパイスの香りが後に残らない。「ここでランチをしてオフィスに戻っても、誰もカレーを食べてきたって気がつきませんよ」とカピラさんが言うくらい、お店自体もスパイスの香りはしない。一つのお皿の上で、カレーとサンボルとライスを混ぜ合わせながら、お米のサラダを食べているような感覚。するんと胃袋に落ちていく。油の少なさが、軽さの理由だという。使うのはココナッツオイル。乾燥して眠りについたスパイスは、火と油で目を覚ます。スパイスの力を呼び起こすための必要最低限の油しか使わない。


「消化のいい食事というのが大事なんです。料理をする人間がこういうことを言うのは不思議に感じるかもしれませんが、ときには"食べない"のも健康の秘訣です。風邪を引いたとき、食欲がないのに栄養をとろうと頑張ってごはんを食べる人もいると思いますが、スリランカでは具合が悪いときは無理して食べない。体の回復より消化にパワーを使ってしまうから。スリランカのお坊さんは一日一食。午前中の11時頃にごはんを食べたら、あとはお茶を飲みながら過ごしているけど、健康です。スリランカでは胃がんも少ないんですよ。日頃から、食べ過ぎないこと、できるだけ胃に負担をかけない食事というのを大切にしています。スリランカの人たちは、アーユルヴェーダの知恵を自然と身につけているんです。だから具合が悪いとき、すぐに西洋医学やアーユルヴェーダの病院にかかるんじゃなく、体を休めたり、料理で体を整えることができる。料理だけではなくて、そうしたスリランカの知識や文化も伝えていけたらいいですね」

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★カボチャとココナッツミルクのカレー(2人分)


カボチャ 200g
タマネギ 1/4個


A
ココナッツオイル.............大さじ1.5
ウンバラカダ....................大さじ1 *カツオ節で代用可
シナモンスティック..........2㎝
フェヌグリーク.................10粒
マスタードシード.............ひとつまみ
カリーパウダー.................大さじ1.5
ターメリックパウダー.......小さじ1.5
チリパウダー.....................小さじ1/2
パンダンリーフ..................2㎝


B
ショウガ......................2㎝
ニンニク.....................1かけ
塩..........................小さじ1
ウンバラカダ..........大さじ3
ココナッツミルク......150㎖


①カボチャはざく切り、タマネギはくし切り、ショウガとニンニクはみじん切り、パンダリーフは千切りにする。カリーパウダーは茶色く香ばしくなるまでフライパンで熱して小皿に取り分けておく ②フライパンにAを上から順に入れて炒める ③スパイスの香りが油に移ったところで、Bとカボチャとタマネギを入れて炒める。水気を足したい場合は様子を見ながら分量外の水を入れる ④カボチャがやわらかくなるまで約20分煮込む


★糸ミツバのサンボル(2人分)


糸ミツバ......................2束 *ゴツコラの代用
タマネギ......................大1/4個
トマト......................小1/2個
ピーマン......................1/2個


A
ウンバラカダ...............大さじ3
ココナッツフレーク....大さじ3
塩.................................小さじ1
黒胡椒..........................小さじ1


レモン.......1/4個


①糸ミツバ、タマネギ、トマト、ピーマンをみじん切りにしてボウルに入れる ②Aをボウルに入れて手で混ぜる ③レモンを搾る


★ココナッツのサンボル(2人分)

トマト................小1/4個
タマネギ................大1/4個


A
ココナッツフレーク......大さじ4
粗挽き唐辛子..................大さじ1
チリパウダー.................大さじ1
黒胡椒...........................小さじ1
ウンバラカダ................大さじ2
塩...........................小さじ1
水...........................大さじ1.5


レモン................1/3個


①トマト、タマネギをみじん切りにしてボウルに入れる ② Aをボウルに入れて手で混ぜる  ③レモンを搾る



Shop Data
〈スパイシービストロ タップロボーン 南青山本店〉
住:東京都港区南青山2-2-15 ウィン青山1F
電:03-3405-1448
休:日



photography=MASAFUMI SANAI
text=MAKI TSUGA(TRANSIT)



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web記事ではここまでのご紹介。「TRANSIT 53 世界のスパイスをめぐる冒険」を読めば、人間とスパイスの長くて深い関係がよくわかるはず。誌面でスパイスの旅を楽しみつつ、日々の暮らしにスパイスを取り入れる世界の知恵もみえてきます。




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