
TRANSIT 48号 美しき古代文明への旅
発売日:2020年6月26日
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その変化のひとつが移動の制限、つまり「旅」ができなくなったこと。
人類はアフリカで誕生して以来、数万年もの間、移動することによって世界を広げてきました。人間の旅に出たいという本能と世界を知りたいと思う気持ちは、きっといつの時代にも普遍的なもの。人間がもつ知的好奇心の手引きとなれるように、TRANSITはこれからも「旅」を続けます。
今号の特集では、政治経済、文字、暦、数学、医療など、現代を生きる私たちの生活基盤となっている古代文明を大特集しました。
高度な文明を築きながらも、終焉を迎えてきた古代文明の数々。文明崩壊に私たちが学ぶべきことがあるかもしれません。
特集のはじまりは、古代遠足から。エジプトやギリシア、イタリアなど、王道の古代文明の遺跡で撮影された偉人たちや名もなきツーリストたちの記念写真を眺めながら、世界に散らばる古代の奇跡に想いをはせます。
その次のエジプト・ナイル川上流に暮らすヌビアの人びとを追った企画は、まさに今号を象徴する特集といえるかもしれません。アスワンダムの建設を理由に、古代エジプトの時代から数千年にわたり住み続けてきた地を離れざるをえなくなったヌビア人。スマホも持っている彼らですが、結婚式の招待は式の一週間前、参列してほしい人に直接会いに行くのが伝統。新郎とその友だちが家族や友人を訪ね歩き、一日20km移動します! 時代に翻弄されながらも家族や仲間を大切にし、たくましく生きる彼らの物語には心動かされるはずです。
病を患ったアメリカの写真家が、救いと癒やしを求めて中東や中央アジアのシルクロードを旅する紀行文も。古代遺跡と現代の高層ビルのコントラスト、現地で生きる人びとに触れ、写真家の心情が変化していきます。
また、写真家・佐藤健寿さんをフィーチャリングし、謎の多い遺跡や遺物、オーパーツなど、世界の不思議を集めた企画も読み応えありです。健寿さん曰く、「現代では"未知"が発見し尽くされたように見えて、実はいまだ解き明かされない謎は多くあり、新しい謎も見つかり続けている」のだとか。ミクロネシアの水上都市ナン・マドール遺跡、「魚人」信仰のあるセルビアのレペンスキ・ヴィル、紀元前につくられたとは信じがたい精密機械など厳選した15個の不思議を、健寿さんのワンダーワールド全開でお届けします。
アルジェリアやチャド、モロッコなど、壁画を巡る旅を記録したページも。かつては草木が生い茂り、さまざまな民族や動物が行き交っていたサハラ。実は、先史時代から残る無数の壁画には、アフリカの文明の美意識を感じます。
そのほかにも、メキシコ・ユカタン半島を中心に高度な文明を築いたマヤ文明の遺跡を訪れた旅人のショートエッセイ集や、グアテマラ・メキシコを縦断して小さな町や村を訪れた写真家の物語からは、マヤの人びとの死生観や神秘さが伝わってきます。
今回の特集の見どころのひとつが、古代文明図鑑です。メソポタミア、エジプト、インダス、中国の4大文明にプラスして、エーゲ文明やアンデス文明、メソアメリカ文明、イースター文明が加わった8つの文明を図鑑化しました! 多くの民族が興亡したメソポタミア文明や、どこにも王墓や王宮が残っていない「リーダー不在」のインダス文明など謎多き文明の数々を、当時の暮らしを再現したイラストとともに情報たっぷりでまとめています。
また、地上最古といわれるメソポタミア文明以前に存在したと噂される「超古代文明」についてのマンガページも。なんと、史実を覆す遺跡が次々に見つかっている......⁉︎ 伝説のミステリー漫画『MMR マガジンミステリー調査班』の作者、石垣ゆうきさんに描いてもらいました。信じるか信じないかは、アナタ次第......⁉︎
日本の古代文明も忘れてはいけません! 縄文が好きな方、意外と多いのではないでしょうか? 実は縄文、世界でももっとも長命な文明なんだとか。その長さは、1万年! 今回は縄文カルチャーを発信するフリーペーパー『縄文ZINE』とコラボした企画で、とあるシティボーイが縄文時代にタイムスリップします。「ドングリ踏んで超痛い」「土偶に遭遇!」など彼の(架空)Twitterのつぶやきとともに、縄文の暮らしを垣間見てください。
時計や文字、暦など古代人が発明したものをまとめた特集もぜひ読んでいただきたいです。時間を気にして、文字を書き、お金を使ったり......今とそう変わらないライフスタイルは、実は古代からはじまっていたことに気づかされます。
「始めあるものは必ず終わりあり」という言葉があるように、一度始まった文明はこれまで必ず終焉を迎えてきました。森林減少、干ばつ、被侵略、反乱、人口過剰、疫病......。文明が滅びるときにはセオリーがある? 専門家に聞き、徹底的にまとめたページは必見です。
また、古代文明だけでなく現代文明も大特集しています! テクノロジーの発展、未開社会と文化人類学、チェルノブイリと福島の原発について、『サピエンス全史』から始める文明読書旅、文明をテーマにした映画や本、アートの紹介も。なかでもラッパーの宇多丸さんが選ぶSF映画やSF作家の小川哲さんがおすすめするSF小説のお話は必読です。
そして、特集の最後は「賢者たちの幸福論」と題し、各界の知識人のみなさんに寄稿、インタビューをお願いしました。生物学者の福岡伸一さん、登山家の服部文祥さん、ロボット開発者の林要さん、僧侶の松山大耕さん、政治学者の栗原康さん、ジャーナリストの津田大介さん、実業家の新井和宏さん、そして思想家の内田樹さん。
古代から現代まで、数万年をカバーした今号。特別付録として、古代の土偶・石像が大集合したポスターもついています!
文明の長い歴史を振り返り、これからの私たちの生き方を考えてみませんか?
特集記事
- ・たのしきかな、古代遠足 (エジプト、ギリシア、イタリア
イギリス、イースター島、メキシコ、カンボジア) - ・ファラオとヌビアをつなぐナイル川(エジプト)
【写真:ヌール・エル・レファイ】 - ・再生のシルクロード
(レバノン、ヨルダン、ウズベキスタン、キルギス他)
【写真・文:キャサリン・ミシェル・アダムス】 - ・世界不思議5W1H with 佐藤健寿
(トルコ、ペルー、イースター島、ロシア、日本他)
【写真・文:佐藤健寿】 - ・サハラに眠る美を追いかけて
(アルジェリア、モロッコ、チャド、エジプト)
【写真・文:英 隆行】 - ・マヤ、悠久の時を旅する(メキシコ) 【写真:田尾沙織】
- ・メソアメリカに生きる人びと(グアテマラ、メキシコ) 【写真・文:村松正博】
- ・失われた遺産(アフガニスタン、シリア、イエメン他) 【文:安倍雅史】
特集企画
- ・古代文明ってなんだ? 謎とロマンの大図鑑
メソポタミア文明/エジプト文明/エーゲ文明/インダス文明
中国文明/メソアメリカ文明/アンデス文明/イースター文明 - ・2020現代文明の明日はどっちだ?
科学/テクノロジー/未開社会/原発/『サピエンス全史』と文明読書旅/SF小説・映画/アート - ・賢者たちの幸福論
福岡伸一/服部文祥/林 要/松山大耕/栗原 康/津田大介/新井和宏/内田 樹 - ・エジプト考古学者河江肖剰が語る ピラミッド探求、真のロマン
- ・フォー・セインツの哲学
- ・超古代文明は存在した!?
- ・壁画でタイムトラベル
- ・縄文なう
- ・古代人が発明したもの
- ・文明が消滅するとき
- ・切望される終末
そのほかの記事
特別付録
- 綴じ込み付録ポスター:古代の土偶・石像大集合!
人物
- ジェームス・フリーマン
- 中山綾香
- 豊田利晃